過去ログ - 打ち止め「失恋でもしたの?」一方通行「……かもな」
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神裂の苛立ち
[saga]
2012/04/01(日) 02:13:24.80 ID:PwzajTw/0
「あの子がどうしてこんな事をしたのか……教えてあげますよ」
神裂火織の瞳に剣呑な色が浮かぶ。
ゆらりと一瞬身体が揺らめいたと思うや否や、上条は咄嗟に右腕を前に出す。
炎を前にした人間が自分を庇うように半ば反射と本能によってとった行動は正しく、顔を覆った腕に固い感触が痛みとともに突き刺さる。
数メートルは離れていた間合いを一足飛びで潰した神裂の拳、上条は辛うじてそれを防いでいた。
「貴方の為ですよ…上条当麻」
「何?」
自嘲気味に神裂の口が歪む。
無理をしている、彼女には似合わない厭な笑い方だ。
そう指摘することもできずに上条は神裂の言葉の続きを気付けば待っていた。
「貴方の隣に立つ為にとあの子が望んだこと、貴方と一緒になる為だけに」
「だったら…だったらこんな事する必要なんてねーだろ」
突き出した拳は難なく神裂に受け止められる。
握られた拳が軋みを上げる。
喉の奥まで込み上げてくる苦悶の声を押し殺しながら神裂の強い視線と正面を切って向き合う。
“隣に立ちたいなら側にいればいいではないか。そもそも、どうして俺から離れる必要があるんだ。”
痛い程感情を乗せた上条の瞳に神裂は舌打ちしたくなる。
この男は何もわかっていない。
苛立ちを紛らわせるように繰り出した膝蹴りが上条の腹に突き刺さった。
咳き込みながら距離を取る上条を神裂は睨み付ける。
見下ろしていた視線はわずかに見上げるようになり、それがそのまま知り合ってからの年月を物語っている。
それが一層神裂の苛立ちを募らせる。
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