156: ◆eZUHOxTppE[saga]
2012/01/17(火) 02:09:54.98 ID:3Ackjly40
「ね。綾乃ちゃん。せやから・・・もう少しだけ、このままで居させてや」
私にしがみついた千歳の声は、震えていた。
私も、千歳と同じように彼女を両手で抱擁する。
二人とも、黙っていた。
もうこれ以上、説明は要らない。
そんな気がして何も言わなかった。
何も言えなかった。
しん、とした生徒会室の中で、二人だけの世界が今ここにあった。
誰かに見られたら、などという心配はどうでも良かった。
千歳が明かしてくれた本気の想いは、叶わない。
だからせめて今だけは、彼女の言う通りにしてあげたい。
それが私の勝手なエゴだったとしてもだ。
もしかしたら、千歳はいま涙を流しているのかもしれない。
でも、それに気付かない振りをした。
やっぱり、私は卑怯だ。
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