過去ログ - 律「閉ざされた世界」
1- 20
11:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:04:08.68 ID:nNWGVWep0
まあ、それはそれで仕方が無いか。
万が一……、いや、百が一……、いやいや、十が一……かな。
自分で考えた事ながらちょっと悲しいが、
それくらいの確率で梓が私に悩みを相談しなかったとしても、
それは梓が悪いわけじゃなくて、相談されなかった私の責任なんだ。
梓を責める気はない。

それでも、澪か唯かムギか、
流石にその中の誰かには相談するはずだし、
澪達も梓が悩んでる事を知れば、私に教えてくれるだろう。
その時、私は陰ながら、間接的にでも梓の助けを出来れば嬉しいと思う。


「……嬉しいな」


だから、梓からメールを貰った時、私は思わずそう呟いてた。
悩み相談じゃなくて新入部員紹介のメールだったけど、
これといった悩みが無いんならそっちの方がずっといいよな。
私は久し振りに梓達と顔を合わせられる事が嬉しくて、
梓から貰ったメールを何度も見ながら、雑誌を積み上げた即席ドラムを叩いた。

梓の事だ。
きっと単に新入部員の紹介をするだけじゃなくて、
新生軽音部のセッションを見せてくれるつもりのはずだ。
サプライズだの何だのって私達に内緒にしながら、それこそ今頃は猛練習に励んでるに違いない。
それでそのサプライズのセッションが終わった後、
「もう先輩達が居なくたって、軽音部は安泰なんですからね」とか言うつもりなんだろう。
相変わらず生意気な後輩め。

そうだとしたら、軽音部の先輩の元部長としてはじっとしてるわけにゃいかん。
新生軽音部のセッションが終わった後で、
元祖軽音部の華麗なセッションを見せてやらないとな。
それで私達の超絶演奏に圧倒される梓に「まだまだだね」と言ってやるのだ。
ふふふ、首を洗って待っているがよい、梓よ……。

だけど、大学での新生活に力を注いでいたせいか、
そんなに怠けていたつもりはなかったのに、予想以上に私のドラムの腕は落ちていた。
ついこの前までは、ハイテンポの『カレー』や『ぴゅあぴゅあ』が簡単に叩けていたはずだ。
それが今じゃローテンポの『天使』や『ホッチキス』でも結構きつかった。
音楽から離れる時間が高校時代から少しだけ増えた事が、
そのまま今の私の実力に跳ね返っちゃってるって感じだな。
それこそ、始まりだけは軽いノリで、知らない内に厚くなったってか?
ううむ、恐るべし、音楽という魔物。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
657Res/1034.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice