過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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206:にゃんこ[saga]
2012/03/06(火) 20:14:16.29 ID:c3OzPGO10
「和ちゃん、ピアノ弾けたよね?
小さい頃、ピアノを上手に弾ける和ちゃんが羨ましかったんだ。
また和ちゃんのピアノを聴かせてくれたら、私、すっごく嬉しい!」


「いつの話してるのよ、憂……。
ピアノが弾けたのはすごく昔の話よ?
今じゃ犬のワルツが軽く弾けるくらいだし……」


「犬のワルツ……?」


私が訊ねると、梓が私の耳元で囁いて教えてくれた。


「『猫踏んじゃった』のロシアでの曲名ですよ、律先輩」


「ああ、『猫踏んじゃった』か。
梓も変な事知ってんな……。あ、和もか。
でも、それなら私も知ってる事があるぞ。
『猫踏んじゃった』って、楽譜で見るとすっげー難しそうな曲なんだって。
それが弾けるんなら大丈夫だよ、和。
何も私達は難しい課題曲でコンテストに参加するわけじゃないんだし。

なあ、梓?
私達に聴かせようとしてた曲って、そんなに難しい曲じゃないんだろ?」


「はい、新人も多いですし、それほど難しい曲じゃないです。
えっと、ですね……。
私達が演奏するつもりだった曲は……」


少し躊躇いがちに梓が私の耳に口を寄せる。
何を恥ずかしがってるんだろうと思ったけど、聞いてすぐにその理由が分かった。
なるほどな……。
確かにその二曲を演奏してくれるなんて、私だって照れ臭くなる。
私達の中で特に思い入れの強い二曲だしな。
そんなに難しい曲ってわけでもない。
練習すれば、和だってすぐに弾けるようになるはずだ。

もう一度、私達は和に視線を向ける。
強い強い視線。
和は顔を赤くして、何度か眼鏡に触れてたけど、遂に折れて言った。


「分かったわよ……。
どうしても嫌ってわけじゃないし、私だって唯達の喜ぶ顔は見たいもの。
ただし、教えるって言ったからには、ちゃんと教えてもらうわよ、律?
いつもの書類みたいに忘れるのは許さないわよ?」


私は「分かってるよ」って笑った後、
和の手を取って「ありがとう!」って大声で叫んだ。
こうして、私達の新ユニットの結成が決まった。

先の見えない世界だけど、
私達のライブで、澪達を元気付けられたらいいなって思う。


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