241:にゃんこ[saga]
2012/03/16(金) 20:04:36.92 ID:/aEQ2O590
私が考えていた事に気付いたのか、和が軽く私の肩を叩いた。
視線を戻すと、これまで以上に真剣な表情で和が私を見つめていた。
「この世界が本当に誰かの心の中なのか、誰かの夢なのかは分からないわ。
分からなかったから、律と梓ちゃんに地図を集めてもらってたのよ。
一つ……、気になる事があったから。
それで地図を確認してみて、自分の記憶と対照してみて、思ったの。
勿論、この世界が誰かの夢だって、確信出来てるわけじゃないわ。
でも、少なくとも私は、この世界はそういう類のものなんじゃないか、って思えたのよ」
「気になる事?
この世界に何か変な事でもあったのか?」
「変な事……と言えば、変な事かしらね。
ねえ、律……。
確か律と澪の小学校はあの大きな公園の近くにあったわよね?」
和が急に何を言い出したのか分からない。
でも、和の言う通り、私達の小学校はあの大きな公園の近くにある。
この付近で一番大きいあの公園……。
澪達とも何度か遊んだ事があるし、そういや私が骨折したのもあの公園だったか。
和の瞳を覗き込みながら、私は軽く頷く。
すると、和が少し躊躇いがちにまた話を続けた。
「小学校の頃、私も唯、憂と一緒によくあの公園で遊んだわ。
もしかしたら、律達とも何度か擦れ違った事があるかもしれないわね。
この近辺に住んでる子供達の中で、
あの公園で遊んだ事が無い子は居ないんじゃないしら。
それくらい大きな公園だものね。
それでね……、世界がこんな風になって、
閉じこもってた澪を説得した後であの公園の付近を通った時……、
私、違和感に気付いたのよ。
誰も気にしてなかったでしょうし、気にする事じゃないのかもしれない。
でも、私は気付いたの。
ひょっとすると、あの公園に行く事が少なかったからこそ、
逆にその違和感に気付けたのかもしれないわね……。
ねえ、律、変な事を訊くけど、教えてくれるかしら?
あの公園……、大きな樹があったわよね?
登れる事が小学生の間で大きなステータスだったあの樹よ。
何人か私の知り合いも登ろうとして落ちていたわね。
唯も登ろうとしてたけど、身長分も登れてなかったから、
落ちた時に大きな怪我が無くてホッとしたのをよく憶えてる」
唯らしいな、と思う隙もなく、和が更に話を続ける。
躊躇いながらも、誰かに話したい事だったんだろう。
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