249:にゃんこ[saga]
2012/03/20(火) 19:08:47.15 ID:wzOF41Z10
その怯えを振り払ってやれたのが私じゃなかったのは残念だけど、
そんな事よりも澪が元気になってくれた事の方が何倍も嬉しかった。
澪が元気になれたのは、多分、いや、きっと和のおかげだろう。
和は頼りになるよな……。
私達を引っ張ってくれるし、澪を救ってくれるし、
慣れないキーボードってパートでほうかごガールズにも参加してくれる。
凄い奴だなって思う。
私も負けてられない。
一応、部長だったんだからな。
部長として、いや、親友として、
これから澪に、澪達に何かをしてやりたい。
いや、何かをさせてもらおうと思う。
そうでなきゃ、何も出来てない私がここに居るのが申し訳ないじゃんか。
だから、やってやろう……!
少なくとも、ライブだけは絶対に成功させてやるんだ……!
でも、それより先にしなきゃいけない事がある。
私は上半身を起こして、寝転がる澪に視線を向ける。
澪は穏やかに笑っていてくれたけど、それで終わらせちゃいけないんだ。
心臓が鼓動するのを感じたけど、私はまっすぐに澪を見つめながら頭を下げた。
「今日までごめんな、澪」
これだけは言わなきゃいけない事だった。
澪の怯える姿から逃げて、自分が怯えたくなくて逃げて、
澪が本当に怯えてる何かを知ろうともせずに、話も出来なかった事を私は澪に謝らなきゃいけない。
謝ったってどうなるわけでもない。
澪だって謝られる事を望んでなんかいないだろう。
でも、謝らなきゃいけないんだ。
それが私のけじめで、澪と私がこれからも親友でいるためにしなきゃいけない事なんだ。
澪は何も言わなかった。
その代わりに、私のパジャマの袖を引いた後、屋上の地面を軽く叩いた。
寝転がってくれ、って事なんだろう。
私は澪に誘われるまま、また寝転がって夜空を見上げた。
二人で星空を見上げる。
何だか吸い込まれてしまいそうだ。
宇宙と私達が一体化する……ってのは言い過ぎか。
でも、そんな気がするくらいの時間が経ってから、澪が小さく言葉を届けてくれた。
「私こそごめん、律。
年下の子が三人も居るってのに、
真っ先に取り乱して、家に閉じこもっちゃってさ……。
自分でも情けないって思うんだけど、
どうしても怖くて……、目の前の現実から逃げ出しちゃって……。
皆に迷惑掛けちゃったって思う……。
だから、謝るのは私の方なんだよ、律。
今までごめんな、律……」
「いや、でも、私の方が……」
身を乗り出して伝えようとしたそれより先の言葉は、
口元に澪の人差し指を当てられる事で止められてしまった。
澪の人差し指の温かさを唇に感じる。
657Res/1034.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。