過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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251:にゃんこ[saga]
2012/03/20(火) 19:14:41.75 ID:wzOF41Z10
「綺麗な夜空だよな……。本当に綺麗な……」


確かに綺麗な夜空だ。
でも、その夜空はもしかしたら……。
その思いは口には出来なかった。
私は躊躇いがちに頷いて、小さく呟いてみる。


「そうだな……、確かに綺麗だよな……」


「うん、綺麗だ。偽物かもしれない夜空でも……さ」


「……えっ?」


驚いた。
この世界が私達の世界とは違ってる事には気付いてるんだろうと思ってたけど、
まさかこの夜空を偽物って考える方が理に適ってる事にも気付いてるとは思ってなかった。
私は和の話からそう考えたわけだけど、澪はほとんど自力でその答えに至ったんだろう。
私は偽物かもしれない夜空から目を逸らさず、澪に訊ねる。


「偽物の夜空かもしれない……ってどういう事か訊いていいか、澪?」


「いいけどさ……。
でも、律だって気付いてるよな?
この世界の夜空、ううん、この世界自体が偽物かもしれないってさ。
さっき、律の反応を見て、気付いたよ。
嘘を言う時の声色だったし、手に汗も掻いてたから……。
分かるよ、律の嘘は……」


「マジかよっ?」


「ああ、長い付き合いのせいか、何となく分かるんだよ。
律の嘘なんて、私には簡単に見抜けるんだからな!
今度から嘘を吐く時は精々気を付けろよ。
まあ、嘘を吐いてたって、全部見抜いてやるけどな」


「何てこった……」


私は呻くみたいに呟く。
いや、澪に私の嘘が見抜かれやすいとは思ってたけど、まさかそこまでのレベルだったとは……。
嘘を言う時の声色……、ってそんなのがあるのかよ……。
今度、唯辺りにどんな声色か聞いてみようかな……。
いや、やめとこう。
下手に意識しちゃうと、変な癖が身に着いて余計に見抜かれちゃいそうだ……。

「だからさ」と妙に真剣な声色で澪が力強く言った。
とても懐かしい気がする澪の強い声だった。


「私に嘘を吐かないでくれよ、律。
嘘を吐かれても分かるし、嘘が分かっちゃうのも悲しいじゃないか。
だからさ……、嘘を吐かないでほしい。
その代わり、私も嘘を吐かないようにするからさ」


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