271:にゃんこ[saga]
2012/03/24(土) 18:55:06.33 ID:J932UPGH0
私、間違っちゃったのか?
私の思い付きの行動が失敗する事は多いけど、今回も失敗だったのか?
梓の調子を取り戻そうとしてやった事は、完全に失敗だったってのか?
それを梓に訊ねたかったけど、本人に訊く事じゃないってのも分かってた。
私は無理して笑ってから、梓の肩を軽く叩いた。
どうしよう……。
梓に嫌われちゃってたら、どうしよう……。
思わずそんな事を考えちゃってる自分に気付く。
当然だけど、梓だろうと誰だろうと、誰かに嫌われるのはどんな時だって嫌だ。
嫌に決まってるじゃないか。
でも、閉ざされた世界に来てから、私は誰かに嫌われるのがすごく怖くなってる気がする。
皆、親しい仲間達だし、残されたのは私達の八人だけなんだ。
たったそれだけしか居ないのに、そんな数少ない仲間に嫌われるなんて、絶対に嫌だ……!
様子がおかしいはずの梓にすら、私の顔色が悪い事を気付かれちゃったんだろう。
梓が心配そうな顔を向けて、私に言ってくれた。
「どうしたんですか、律先輩?
これから練習するんですよね?
ぼんやりしててすみませんでした。
私はもう大丈夫ですから、練習しましょう?」
悩んでる梓に何で気を遣わせちゃってるんだよ、私は……。
私は自分の情けなさと臆病さに呆れながら、どうにか掠れた声を絞り出す。
「あ、ああ……。
今日は初めてほうかごガールズで合わせる日だからな……。
しっかり頑張れよ、梓。
それと……、えっと……」
「何ですか?」
梓が首を傾げて私に訊ねる。
その顔にはもう微笑みが戻っていた。
梓の悩みはひょっとしたらそれほど深い悩みじゃなかったのかもしれない。
私が勝手に怖がっちゃってるだけかもしれない。
だけど、梓に嫌われた可能性がほんの少しでもあるって思うと、
私は震えてしまう自分の心を押し留められなかった。
本当は「ごめんな」って言おうと思ってた。
「調子に乗って胸を揉んだりして悪かった」って言いたかった。
でも、流石にそれはやめておいた。
それは完全な私の自己満足だからだ。
梓に「気にしてませんよ」って言ってもらって、安心するための謝罪なんだ。
それが分かるくらいには、私の頭は悪くないつもりだ。
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