過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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282:にゃんこ[saga]
2012/03/26(月) 17:46:27.92 ID:a4DBpTkb0
私はつい頭を抱えて悶えてしまう。
いくら何でも、我ながらこれはあまりにも酷過ぎる……。
気が付けば、多分、私と同じ事を考えてるんだろう梓が口元に手を当てて笑っていた。


「律天使……、ぷっ!」


「中野アズキャットー!」


私は梓に掴み掛かろうとしたけど、すぐに思い直して梓の頭を掴んだ。
日焼けしてる梓を痛がらせるわけにはいかないからな……。
でも、せめて私の恥ずかしさくらいは思い知れ!
私は梓の頭を存分にクルクルと回し、私の恥ずかしさを思い知らせてやった。

だけど、よかったよな……。
こんな軽口を叩けるくらいなら、梓の緊張も少しずつ解けてきてはいるんだろう。
完全にちゃんと歌えるようになるまではもう少し時間が掛かるだろうけど、それは仕方が無い。
努力家の梓を安心させられるのは、積み重ねた練習だけだ。
梓が自分を信じられるようになるまで、思う存分練習に付き合おう。
梓に嫌われたわけでもなかったみたいだし、しっかり付き合わなきゃな。

胸に湧き上がる安心感。
皆、一緒に笑う。
幸せだ。
こんな世界でだって、皆で一緒に笑えられれば幸せだ。
八人がずっと一緒に笑えるんなら……。

でも。
皆で笑いながら、練習をしながら、気付く。
梓に嫌われてなかったのはとても嬉しい。
凄く嬉しい。
だからこそ、思った。
もしも本当に梓に嫌われてしまったら、私はどうなってしまうんだろう。
梓だけじゃない。
唯でも、澪でも、ムギでも、憂ちゃんでも、純ちゃんでも、和でも……。
残された八人の中の一人でも失われてしまったら、私達はどうなっちゃうんだろう……。

考えても仕方が無い事だって、分かってる。
でも、幸せだからこそ、
私は胸に湧き上がる不安感を忘れる事が出来なかった。


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