309:にゃんこ[saga]
2012/03/31(土) 17:56:16.65 ID:dC3rBIds0
不意に。
梓が私を見つめてる事に気が付いた。
衣装と私の顔を交互に見ながら、何とも複雑そうな表情を浮かべてる。
「……何だよ、梓」
じろりと梓の顔を見つめて言ってやる。
すると、梓が躊躇いがちに口を開いて答えた。
「本当にその衣装でよかったんですか……?」
「何言ってんだよ、おまえだって同じ服着てるだろ」
「いえ、そりゃ私は問題無いですよ。
いつも着てる服ですし、着慣れてますから、
私達のライブにはぴったりの衣装だと思います。
でも、律先輩とがその服を着るのはちょっと……」
梓が言うその服ってのは、桜高の制服の事だった。
実家に片付けてたのを引っ張り出して来たやつだ。
パッと思い付く私達のライブ衣装って言ったらやっぱりこれだからな。
制服が私達の戦闘服ってやつなんだ。
さあ、どこからでもかかって来い。
まあ、梓が言おうとしてる事も何となく分かる。
女子大生が高校の頃の制服を着るのはどうかって言いたいんだろう。
梓の気持ちはよく分かる。
半年前まで普通に着てたはずなのに、
久々に高校の制服に袖を通すのは何だか恥ずかしい。
スカートもこんなに短かったっけ? って本気で思う。
だけど、そんな恥ずかしさよりも、
梓とまた同じ衣装を着る事が出来たって事が嬉しかった。
そもそもサプライズライブをやるつもりではあったけど、
流石に制服で乱入するつもりはなかったからな。
それこそ下手すりゃ、
一生梓と制服でライブをする事なんて無かったかもしれない。
そう考えると不思議な感覚になって来るよな。
勿論、こんな異常事態を歓迎してるわけじゃないけどさ。
だから、私は開き直って、梓の頭をぐりぐりと撫でてやった。
意外に気持ち良いのか、梓が目を細める。
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