過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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320:にゃんこ[saga]
2012/03/31(土) 18:06:04.58 ID:dC3rBIds0
「おっと……」


私は立ち上がって、梓に近付いていく。
やばいやばい、すっかり忘れてた。
ちゃんと梓達三人にピックを渡しとかなきゃな。

ピックを渡し終わったら、いよいよライブの始まりだ。
そういやまだ澪達にはバンドの名前も教えてなかったしな。
梓が恥ずかしがりながらバンド名を伝える姿が目に浮かぶ。
ははっ、何か面白い。


「悪い悪い、梓。
ピックなら私が持ってるんだよな。
純も憂もすぐに行くから待って……」


その言葉を最後まで言う事は出来なかった。
どうにか出せた私の勇気が二人に届く事は無かった。
風が、吹いた。
そりゃ暑苦しいから窓は開けていた。
でも、だからって、室内にこんな激しい風が吹き込むもんか。

そう。
それは、一陣の風。
目を開けていられないくらいの激しい風。
まるで……。
まるで、この世界に迷い込んだ日のあの風のような……。

風は数秒くらい吹いてただろうか。
風が止まった後、目を開けるより先に、違和感に気付いた。
違う。
空気や、雰囲気や、何もかもが、今までとは全然違う。
大体、机の上に立っていたはずなのに、
今足下に感じるこの感触は……、土……?

目を開ける。
目を開けたってどうなるわけでもないかもしれない。
でも、目を開けないわけにもいかなかった。


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