過去ログ - 律「閉ざされた世界」
1- 20
354:にゃんこ[saga]
2012/04/25(水) 18:32:23.51 ID:sybMAEU90
昼からの予定を考えていると、不意に視線を感じた。
澪の視線かと思ったけど、そうじゃなかった。
澪は静かに昼食を食べるムギを心配そうに見守っていた。
視線の持ち主は梓だった。
梓は唯と昼食の話をしながら、私の方に何度も視線を向けていた。
話をしながら器用な奴だな、って思ったけど、
そんな事より梓は何で私の方に視線を向けるんだろう。
私に何か話したい事があるのか?

そういえば……、梓は私の判断についてどう思ってるんだろう。
梓は同級生の親友を二人も失ってしまったんだ。
私だって辛かったけど、梓の方は私なんかより何倍も辛かったはずだ。
私が責められても、仕方ない事だって思う。
でも、梓は私を責めようとはしなかった。
想像以上に冷静な態度で、皆で手を繋いで歩くって提案もしてくれた。
今だって軽く微笑んで唯と話をしてる。
私達に気を遣ってくれてる。

それは安心出来る事だったけど、少し不安にも感じた。
梓は何を考えてるんだろう。
無理してるんじゃないだろうか。
無理してないわけがない。
私なんて一日目なのにもう無理のし過ぎで吐き気がしそうなくらいだ。
まあ、私が打たれ弱いからってのもあるかもしれないけど、
それでも、梓は特に自分一人で溜め込んじゃうタイプだから、無理してるなら話くらい聞いてやりたい。
多分だけど、残った四人の中で梓が一番弱音を吐きやすいのは私のはずだ。
唯には強がるだろうし、澪とムギには心配掛けたくないって考えてるだろうしな。

憂ちゃん達三人を見捨てた私に、
そんな事をする資格があるんだろうかって思わなくもない。
それならそれで梓に責めてもらって構わない。
とにかく、話をしない事には何も始まらないはずだ。
その……はずだ……。
思いながら、私は自分の中の浅ましさに気付く。
ひょっとすると……、私は梓に自分の選択が正しかったのかどうか判断してほしいんだろうか。
そうだな……、判断してもらいたいのかもしれない。
正しかったにしても間違ってたにしても、何かを言ってほしいのかもしれない。
どっちの言葉が欲しいのかは、私自身にも分からないけど……。
ただ、誰かに裁いてほしい……、その気持ちがあるのだけはあるのは確かだった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
657Res/1034.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice