過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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390:にゃんこ[saga]
2012/05/06(日) 17:06:36.82 ID:i5v7bhML0
梓が頬を膨らませながら微笑む。
一緒に風呂に入ろうとしなかった私を怒ってるわけじゃないらしい。
純粋に疑問に思ってるだけみたいだな。
でも、……あれ?
確かに私は梓と一度も風呂に入ってないな。
憂ちゃんや純ちゃん、和ですら一緒に風呂に入ってたのに、
何故か梓と澪とだけは一緒に風呂に入った覚えが無い。
澪は顔馴染み過ぎて気恥ずかしかったからだけど、梓の方はどうしてだったっけ?

はっきりとは思い出せない。
でも、確か私と同じくらいの体型の梓と自分を比較するのが恥ずかしかったからだった気がする。
不本意な事だが、軽音部設立メンバーの中で一番身体にメリハリが無いのは私だ。
悲しくなるくらい、メリハリと凹凸が無い。
それでも、後輩の梓には何とか勝っていた。身長も胸も勝っていた。
万が一……だけど、梓に胸で負ける事になったら、私はしばらく立ち直れそうにない。
だって、あの幼児体型の梓だぞ?
あの幼児体型の梓にまで負けたら……、そう思うと怖くて梓と一緒に入れなかったんだ。
今思うと、ものすっごく下らない理由だな……。

だけど、梓が私と風呂に入りたがらなかったのも同じような理由だろうな。
梓の場合は同じくらいのレベルだと思ってた私が、成長してるんじゃないかって心配してたはずだ。
それを確かめたくなくて、一緒に風呂に入る気になれなかったんだろう。
心配するな、梓。
私もおまえと同じく全然成長してないから……。

失礼な気がしながら、私は髪を下ろした梓の身体を見つめてみる。
今まで梓とは何度か風呂に入った事があるけど、
初めて風呂に入った時から胸も腰回りも全然変わってないように見えた。
まあ、その柔らかそうな肌が劣化してるわけでもないし、
シワが増えてるってわけでもなさそうだから、女としては悔しさと喜びがトントンって感じかな。


「何ですか、律先輩……?」


私の視線に気付いたらしく、ジト目になった梓が私に訊ねる。
私は肩をすくめると、浴槽の隅に背中を寄せて梓を手招きしてやった。


「悪い悪い、何でもないって。
いいよ、たまには一緒に風呂に入ろうぜ?
梓もそのままじゃ風邪ひいちゃうぞ?
若干狭くなるけど、ま、二人なら何とかなるだろ」


「はい、それじゃ失礼しますね。
ありがとうございます、律先輩」


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