過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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393:にゃんこ[saga]
2012/05/06(日) 17:16:51.27 ID:i5v7bhML0
「唯先輩の事なんですけど……、律先輩も見ましたよね?
唯先輩の憂と和先輩みたいなあの恰好……」


やっぱりそうなんだな、って思った。
今日は梓は唯と澪と一緒にホテルに留守番してる日だったんだ。
私より先に唯の姿を見てても全然不思議じゃなかった。
唯の姿を見て、梓はどう思ったんだろう。
多分、残された仲間の中で、一番私に近い考え方を持ってるのは梓だ。
未来に進んで、残された仲間達を何としても護りたいって思ってくれてるはずだろう。
そんな梓が唯の姿を見て思った事は……。


「ああ、見たよ。正直、驚いた。
唯の奴があんな恰好をするなんて、思ってもみなかったからさ……。
唯の想いが……、痛いくらい分かったよ……」


私が呟くと、梓も神妙な表情で頷いた。
辛そうだけど、でも、何かを決心したみたいな表情だった。
梓は私の方に少し近付いてから、口を開いた。


「私も唯先輩の気持ちは分かります……。
私だって、どんな形でもいいから、憂達を感じていたいって思いますし……。
憂や和先輩の真似をする事で憂達を感じられるなら、それでいいのかもとも思います。
それが……、唯先輩の選んだ事なんですから……。
でも……」


「ああ……、そうだな……。
でも……、だよな……」


梓の言葉は私が継ぐ事にした。
梓にばかり辛い言葉や言わせたり、痛い決心をさせてちゃいけないって思ったからだ。
私だって、梓を引っ張ってやらなきゃいけないんだ。


「唯は……、唯達はそれでいいと思う……。
唯の姿を見ると、憂ちゃんの事を思い出して辛くなるけど、それでいいんだよ、きっと。
あいつには……、皆の過去を持ち続けてもらおうって思うんだ。
私は皆の未来を探したいし、守りたい。
その分、唯達には私と梓の過去を捜してもらおう。
私と梓は唯達の未来を見つける。唯達には私達の過去を捜してもらう。
役割分担だよ、バンドのパートみたいなさ。
それがきっと……、一番いい事なんじゃないかな……」


私が想いを言葉にすると、「はい」と梓が頷いてくれた。
実は本音を言わせてもらうと、かなり無理をしてた。
必死に皆の事を考えて、どうにか無理矢理に出せた答えだった。
唯の姿を見ているのは辛い。過去を思い出して悔しくて、悲しい。
だけど、唯の選択は私が選びたかった選択でもあるから、
せめてその唯の、唯達の気持ちだけは守りたかったんだ。
だから、きっとこれが私に出せる最善の答えなんだと思う。
私達は未来に突き進んで、唯達は過去を大切にするんだ。
それでやっと皆が生きていけるはずなんだ。
胸に痛みを抱えながらでも……。


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