395:にゃんこ[saga]
2012/05/06(日) 17:31:28.33 ID:i5v7bhML0
だけど……。
必死に自分の行為を否定しようとしながら、
妙に冷静な自分が自分の行動を客観的に判断してしまってた。
私は寂しかったんだ、って。
寂しかったから、梓の体温で自分を慰めたかったんだ、って。
誰かの温もりを感じてたかったんだ、って……。
大好きな梓なら私を受け止めてくれるはずだって思って……。
いや、それならまだ全然マシだった。
私がさっき考えてたのは、もっとずっと最低な事だった。
梓の事が好きなら、好きだって言えばいい。
好きだって言って、それから慰め合いになるのなら、それはそれで一つの選択肢だ。
でも、違う。さっきの私は全然違う。
未来に進むための支えって言い訳を考えて、
梓なら私を拒否せずに受け入れてくれるはずだって下心も持って……。
皆の未来を守るんだから、それくらい許されるって思っちゃってたんだ、私は……。
何だよ。
何なんだよ。
そんなの許されるわけないだろ!
どうしてそんなの許されるって思っちゃったんだよ!
どうかしてるぞ、私は!
でも……。
でも……。
気が付けば、私はまた梓に手を伸ばそうとしてしまっている。
梓を抱き締めて、体温を感じようとしてしまっている。
心に空いた穴を塞ぐためなら、何だってしてしまいそうになっている。
さっきの決意が馬鹿みたいだ。
未来に進むって考えてたのは建前だったのか?
辛かったのは確かだ。悲しかったのは本当だ。苦しかったのは現実だ。
だけど、皆の未来を護るはずの私が、
梓の未来を奪おうとしてるなんて、どういう事だよ……。
それが許されるって考えてるとか、最悪以外の何物でも無いじゃないか……。
どうやら……、私は自分で思う以上に浅ましくて最低らしい……。
「律先輩……?
どうか……したんですか……?」
急に自分の両肩から手を離した私を不審に思ったんだろう。
梓が首を傾げながら私に訊ねた。
優しい声で。
優しい瞳で。
優しい想いで……。
途端、私は自分がどうしようもなく汚らしい存在に思えた。
梓に心配される資格も、支えられる資格も私には無い……。
胸が張り裂けそうになるのを感じる。
少し気を抜けば、嗚咽が漏れ出してしまいそうだ。
自分で自分を殴り付けてやりたい衝動に駆られる。
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