426:にゃんこ[saga]
2012/05/13(日) 17:44:53.97 ID:To/8p/je0
◎
「どういう事なんだよ……。
どうなってるんだよ……」
焦りや不安や無力感……、色んな感情が私の中を巡る。
原因は唯の体調だった。
唯が体調を崩して三日の間、
私達はロンドンの探索を一旦中断して、交代制で唯の様子を見ていた。
ムギが見つけた医学書を翻訳して唯の診断をしてみた結果、
恐らくは単なる風邪なんだろうって事になった。
生き物が居ないこの世界にウイルスが居るのかって話だが、
厳密には生物じゃないらしいウイルスならこの世界にも存在出来てるのかもしれない。
いや、そんな事はどうでもいい。
とにかく唯は単なる風邪のはずだったんだ。
だけど、唯の体調は全然治らなかった。
治らないどころか、悪化するばっかりだ。
声を出す事すら辛そうになってるし、
寒気も感じてるみたいだし、熱なんかさっき計ったら40℃もあった。
40℃だぞ?
確か私も一度40℃の熱を出した事があったけど、
あれは思い出すのも嫌になるくらい辛かった覚えがある。
あの時はこのまま死んじゃうんじゃないかって本気で思った。
いや、死にはしなかったから、今ここに私が生きてるわけだけど……。
でも、その想像は私の背筋に寒気を感じさせた。
死ぬ……? 唯が……?
いやいや、そんな事があるか。
そんな事があってたまるか。
だけど……、考えてしまう。どうしても悪い方に考えてしまう。
前に聞いたムギの豆知識が頭の中に何度も浮かぶ。
ムギが言うには、人間は体温が41℃を超えると意識を失ってしまうらしい。
そして、42℃を超えた時には、身体中の蛋白質が固まって死んでしまうんだそうだ。
42℃……、つまりあと2℃。
あと2℃体温が上がると、唯は死んでしまうんだ。
唯が……、死んで……。
死……。
だから、違う違う!
唯は死なない! 殺しても死ななさそうな唯だぞ!
そんな唯が死ぬはずがあるか!
死なせるもんか!
唯にまで居なくなられてしまったら、私は何のために……。
何のために和達を忘れようと……!
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