過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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427:にゃんこ[saga]
2012/05/13(日) 17:50:47.29 ID:To/8p/je0
私は椅子に座って拳を握り締めながら、
でも、それを何処かに叩き付ける事も出来ず、私は汗を掻く唯にじっと視線を向ける。
唯は真っ赤な顔をして、喘ぐみたいに呼吸をして、呻いていた。
眠っているのか、意識が朦朧としているのか、それすらも判断出来ない。
それくらい、消耗してしまっている。
誰だよ、風邪をひいた事無いって言ってた奴は……。
こんなになっちゃって……、
こんな状態になっちゃってるじゃないか……。

私の焦りや不安を感じ取ったんだろう。
私と一緒に唯の看病をしてる澪が、私の肩に軽く手を置いた。
視線を向けると、澪は気丈な姿で私に真剣な表情を向けていた。
唯を起こさないよう、小さな声で囁く。


「もうおまえも休め、律。
そろそろムギとの交代の時間だろ?
そんな調子じゃ、律だって参っちゃうよ……」


澪が気遣ってくれるのは嬉しかったけど、私は首を横に振った。
確かに澪の言う通り、交代制なのに私無理言って唯の看病に半日くらい付き添ってる。
勿論、私に何が出来てるわけじゃない。
汗を拭いたり、たまに唯が落ち着いた時に会話をするくらいだった。
それは唯のためだったけど、それ以上に私のためでもあった。
休もうとしたって、唯の事が気になって休めるわけがない。
唯の苦しむ姿を思い浮かべるだけで、不安に押し潰されてしまいそうになる。
だから……、唯の傍から離れたくない……。
でも、澪はもう一度、私に諭すみたいに言った。


「頼むよ、律……。
唯の事は勿論心配だけど、私はおまえの事だって心配なんだ。
風邪って決まったわけじゃないけど、
もし唯が本当にウイルス性の風邪だったらどうするんだ?
律まで体調を崩して寝込んじゃったら、どうするんだよ?
そんなの皆に迷惑じゃないか」


皆に迷惑……。
そう言われてしまうと弱かった。
その通りだ。全くその通りだ。
私はまだ皆のために何も出来てない。
いや、出来てないどころか、むしろ迷惑しか掛けてない気がする。
辛い……、それが本当に辛い……。
皆の手助けが出来てない私に、一体どんな存在価値があるって言うんだろう……。
胸の痛みを感じて、私は視線を伏せる。

言い過ぎたと思ったのか、澪が腰を下ろして、
私の伏せた視線と同じ高さになって、悲しそうな声を出し始めた。


「ごめんな、律……。
でも、言い過ぎたとは思ってないよ。
皆、唯の事を心配に思ってるし、看病したいと思ってるんだ……。
それでも、我慢してるんだよ。
唯と同じくらい、律の事だって心配してるから、我慢してるんだから……」


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