507:にゃんこ[saga]
2012/06/03(日) 17:38:40.70 ID:w9A0afgF0
だけど、心配させたお仕置きくらいはしてやってもいいだろう。
私は唯の頭に軽くチョップしてやると、のこぎりみたいに前後に動かしてやった。
こんなチョップをしてやるのも、そういえば凄く久し振りだ。
手を動かしながら、言ってやる。
「二度とこんな事で心配させんなよ、唯。
いや、その原因の一端は私にもあったわけだけど……、
それでもさ、もうこういうのはやめてくれよ?
私はさ……、私達は……、唯が元気で居てくれるのが一番嬉しいんだからな?」
私は自然に言ったつもりだったけど、唯にとっては意外な言葉だったらしい。
唯は私から身体を離すと、そのまま部屋の床に座り込んで涙を流し始めた。
変な事を言っちゃったんだろうか?
私は少し動揺しながら、涙を流す唯の肩に手を置いた。
「おいおい……、泣くなよ、いきなり」
「だって……、だってぇ……!」
言いながらも、唯の涙は止まらない。
ボロボロと床に零れ落ち続ける。
でも、涙に負けないように、唯は私達に自分の想いを届けてくれた。
「嬉しいよ……?
りっちゃんの言葉、凄く嬉しいけど……、ごめんって思っちゃって……。
皆に迷惑掛けてばかりで……、今だって、皆に……。
この世界はきっと……私の夢で……、皆に嫌な想いをさせちゃってて……。
それが……、すっごく……すっごく……」
拭っても拭っても溢れ出す唯の涙。
こいつは自分の辛さには耐えられるけど、
私達が辛く思う事には耐えられない奴なんだ。
でも、それは私達だって同じだ。
私達だって唯が辛いのは嫌なんだ。耐えられないんだ。
だから、私は唯の頭を撫でながら言うんだ。
「迷惑じゃないよ。
そりゃ大変で辛い事もあるけどさ……、
でも、唯と一緒に居て笑えるのは嬉しいんだ。
笑ってくれ。笑って、元気で生きててくれよ、唯」
「生きてて……いいの……?
私が生きてたら、皆が元の世界に……」
「いいよ」
言ったのは澪だった。
家族に一番再会したいのは多分自分のはずなのに、澪はそう言った。
澪は前に進む事を決めてるんだ。
思い出を捨てず、未来を夢見ながら、現在を生きていく事を決めてるんだ。
それは和と……、こんな弱気になる前の私のおかげらしい。
澪にとっては私はそんな頼り甲斐ある奴だったらしい。
自信は無いけど、澪が私をそう思ってくれてるなら、今度こそ迷わないように前に進みたい。
澪が私の方に一度だけ視線を向けてから、言葉を続ける。
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