過去ログ - 律「閉ざされた世界」
1- 20
508:にゃんこ[saga]
2012/06/03(日) 17:39:58.59 ID:w9A0afgF0
「いいんだよ、唯。
律も言ったけど、私達はおまえが元気なのが一番なんだ。
おまえが元気で居てくれたら、それだけで嬉しいんだよ。
勿論、もしも遠く離れる事になったって、おまえが生きてくれてるなら嬉しい。
それにな……」


「それ……に……?」


「一つの事に集中出来るのはおまえの良い所だけど、それしか見えなくなるのは悪い所だよ、唯。
おまえが死ねばこの夢は覚めるかもしれないよな?
でも、もしかしたら覚めないかもしれないし、この世界がおまえの夢じゃない可能性も残ってる。
そんな物の試しみたいな事でおまえに死なれてたまるか。

あと、視野が狭いぞ。
元の世界に戻るためには、おまえが死ぬ以外の方法があるってどうして考えないんだ?
私達はまだこの世界について詳しい事は何も分かってないだろ?
おまえが死ぬのはこの世界の事がもっと分かってからでもいいはずだよ。
勿論、それしか方法がなくったって、おまえを死なせるつもりはないけどな」


「でもでも、元の世界に戻っても、私は……」


「だから、視野が狭いって言ってるだろ?
その解決策も一緒に見つけるんだよ。
元の世界でのおまえは寝たきりなのかもしれない。
目を覚まさない状態なのかもしれない。
でもな……、こんな世界を作り上げられるくらいなんだ。
どうにか頑張れば、おまえが元の世界でも生きられる方法があるって思わないか?」


正直、驚いた。
私もそこまで考えてなかったからだ。
唯を死なせたくないとは思ってたけど、その解決策までは思いが至ってなかった。
そんな……考え方があったんだな……。
もう、澪の奴を怖がりってからかえないな……。
澪は強くなった。
この世界に迷い込んでから、私なんかより、ずっと強くなった。
負けてられないよな、これは……。

勿論、本当にそんな方法があるとは限らない。
無い可能性の方が大きいと思う。
そんな都合よく、唯も私達も救われる手段があるなんて考えられない。
それでも、よかった。
何の目的も絶望するより、過去から逃げ出してるより、それを探す方がずっといい。
もうすぐ、私達が離れ離れになるかもしれないけど……。


「そうだよ、唯ちゃん。
私、唯ちゃんとまた演奏したいもん。
唯ちゃんのギター、澪ちゃんのベースと合わせた新曲が演奏がしたいよ。
折角作った新曲なんだし、皆に聴いてもらいたいな。
りっちゃんと梓ちゃんにも、勿論、和ちゃんや憂ちゃん、純ちゃん達にもね……」


真剣な表情でムギが言葉を紡いだ。
新曲が演奏したい……。
私だってまた唯と、皆と演奏したかった。
今度こそ自分達のために。前に進めるために。
本当の意味で、だ。

皆で本音で話し合えるようになって、やっと分かった事がある。
ロンドンに転移させられる前にやろうと思ってたほうかごガールズのライブ……。
あれは皆と自分を元気にさせるために、勇気を奮い出させるためのライブにしようと思ってた。
ライブをすれば勇気を出せる。
ライブをすれば元気に生きていける。
って、そんな風に考えちゃってた。
それはそれで間違ってないはずだけど、私達らしくなかったかなとも思う。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
657Res/1034.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice