51:にゃんこ[saga]
2012/01/26(木) 20:21:25.15 ID:DHbPiHVK0
◎
時間は少しだけ前の話になる。
真夏の朝、私が一人で屋上を訪れていたのには、深いようで浅い理由があった。
そもそも自分でも真夏に屋上で佇むなんて、
風流どころか熱中症を心配したくなるけど、何故だかあまり暑さは感じなかった。
暑いはずなのに、暑さをあんまり感じないんだよな。
それは精神的な問題なんだろうか。
それとも本当に体感温度が下がってるのか?
そういや、ヒートアイランド現象って言うんだっけ?
クーラーやら何やらの排気熱のせいで、都市全体の温度が上がっちゃう現象の名前って。
今の状況、少なくともこの町では誰一人クーラーを使ってないはずだ。
私達も含めて、だ。
人が消えてから、ほとんどの電化製品は全く動かなくなった。
難しい話じゃなくて、単純に町全体に電気が通ってないだけだ。
だから、使いたくてもクーラーなんて使えないんだよな。
そういう意味で町全体の温度が下がっちゃった……、ってのはあるのかな?
まあ、どっちでもいいか。
とにかく、電気が通ってないわけだから、電灯だって点かない。
そのせいもあって、何と私達は昨日は午後の九時に消灯……、じゃないや、就寝した。
九時だぞ、九時。
健全な女子大生が眠っていい時間じゃないよな。
でも、電灯が点かないんじゃ、
テレビゲームどころかボードゲームも出来なかった。
自宅や学校から集めてきた蝋燭を無駄遣いするわけにもいかない。
電池で動く電化製品は動くみたいだけど、
電池を消耗させてまで遊ぶ気力も度胸も残ってなかった。
結局、私達はそれぞれに寝る事しか出来なかったわけだ。
ちなみに全員がまとまって寝るのも手狭だろうって事で、
ひとまずの間だけど、私達は二つのグループに分かれて眠る事になった。
生徒会室で眠る事になったグループが私、和、梓、純ちゃん。
軽音部の部室で眠る事になったグループが唯、憂ちゃん、ムギ、それに澪だ。
勿論……、って言うのも変な話だけど、
私と澪が違うグループになった事は、梓と純ちゃんに心配された。
特に純ちゃんが必死な表情で、私を説得しようとしていた。
「澪先輩と一緒じゃなくていいんですか?
よければ私が澪先輩と変わりますよ!」
って、そう申し出てくれた。
それだけ私達がいつも一緒に居るって思われてるんだろう。
一緒に居なきゃいけないんだって。
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