過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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52:にゃんこ[saga]
2012/01/26(木) 20:22:16.00 ID:DHbPiHVK0
それはとても嬉しかった。
純ちゃんは本当に優しい子だ。梓と親友なのも納得出来るよ。
私はそんな純ちゃんに感謝しながら……、でも、ちょっと卑怯な事を言った。


「別に澪と一緒じゃなくても大丈夫だよ。
それとも、純ちゃんは私と一緒のグループが嫌なのか?」


我ながら卑怯な言い方だったと思う。
そんな事を言ったら、純ちゃんの方が引き下がるしかないって分かり切ってるのにさ。
予想通り、純ちゃんは「そんな事ないですけど……」と残念そうに引き下がってくれた。
気を遣ってもらいながら、純ちゃんには本当に悪い事をしちゃったと思う。

でも、今はまだ、面と向かって澪と話せそうになかった。
家に閉じこもろうとした澪の事を怒ってるわけじゃない。
澪の気持ちはよく分かるし、出来る事なら支えてやりたい。
だけど、澪に掛けられる言葉が見つからないんだ。
何を言っても、わざとらしい気休めになっちゃいそうな気がしてる。
私が澪に掛けたい言葉はそんな気休めなんかじゃない。

いや……、ひょっとしたら、気休めでもいいのかもしれなかった。
気休めでも何でも、とにかく澪に言葉を掛けるべきなのかもしれない。
少しずつ言葉を掛けていく内に、
本当に言いたかった言葉が見つかるものなのかもしれない。

頭では分かってるつもりだ。
それでも、身体と……、心が動き出せないんだ。
頭の中で見つけた言葉を喋ろうと口を開いても、
うるさく響く心臓の鼓動が、一瞬で私の言葉を消して口を閉じさせる。

恐いんだと思う。
澪を失うのが恐いんだ。
澪だけじゃない。
唯も、梓も、ムギも、和も、憂ちゃんも、純ちゃんも……。
皆を失うのが恐くてどうしようもない。

当然だけど、誰かを失うのはいつだって恐い。
大切な人達を失くしたくない。
こんな状況じゃなくたって、恐いに決まってる。


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