513:にゃんこ[saga]
2012/06/03(日) 17:43:58.74 ID:w9A0afgF0
◎
目を覚ました時、私は自分の腕の違和感に気付いた。
何故だかとても腕が痛い。
締め付けられてるような気がする。
唯と手を繋いで眠ってたはずだから、唯が私の手をきつく握ってるのか?
まあ、私も結構強くあいつの手を握ってはずだから、人の事は言えないか。
大学生にもなって友達と手を繋いで寝るなんて、思い返してみるとかなり恥ずかしいけどな。
でも、いいか。
恥ずかしいけど、自分の気持ちに正直になれたと思う。
言いたかった事や、言えなかった事をやっと二人で話し合えたんだ。
それだけで、恥ずかしさなんてどうでもよくなる。
にしても、唯の奴、
いくら何でも私の腕を握り締め過ぎじゃないか?
やれやれ、仕方が無い奴だな……。
私はそう思いながら右腕を布団の中から出してみて……、息を呑んだ。
何だ、これ……?
どうしてこんな事になってるんだ?
一体、誰がこんな事を……?
頭が混乱する。
起きたばかりだからかもしれないけど、頭の中が全然整理出来ない。
眠る前、唯と話していた時にはこんな事になってなかったはずなのに、
唐突過ぎる突然の出来事を受け止めきれずに、ただ心臓だけが激しく鼓動する。
確かに私は唯と離れたくなかった。
皆と一緒に居たかった。
一緒に居たいって想いを大事にしようと思った。
一緒に居たいからこそ決心しようとしたのに、何なんだ、これは……。
こんな形じゃない。
離れたくないって思ったのは、こういう意味じゃないんだ……。
「おはようございます、律先輩」
声を掛けられて、やっと気付いた。
ベッドの横の椅子に座って、梓が私と唯を嬉しそうに見ていた事に。
その梓の右腕が私の左腕と繋がれてる事に。
包帯でぐるぐると巻かれて、私の手首から肘くらいまでが繋がれてる事に。
今、私と唯の腕が包帯で決して離れないように繋がれてるみたいに……。
二度と離れ離れにさせないために……。
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