539:にゃんこ[saga]
2012/06/10(日) 18:35:40.94 ID:bX5VV6EK0
「どうしたんだ、梓……?」
「私……、皆さんの傍に居て……、いいんですか……?」
「ああ、当然だ。
傍に居たいっておまえが思ってくれるんなら、私だって嬉しいよ。
私だって、皆だって、おまえの傍に居たいんだ。
離れ離れになんて、なりたくないよ。
一緒に居たいって思ってる」
「ありがとう……ございます。
私……、律先輩にそう言って頂けて嬉しいです。
本当に嬉しいです……けど……、
私、もっと皆さんのお役に立ちたいんです。
お役に立てたら……、って思うんです」
「別にそんなに気負う必要は無いぞ、梓。
おまえはそのままのおまえでいいんだ。
でも、まあ……、何かをしたいって言うんなら、止めないよ。
私だって出来る限り皆の役に立ちたいって思ってるのは、おまえと一緒なんだしさ」
「ありがとうございます、律先輩……。
それじゃあ……」
言い終わってから、梓が私の背中から腕を離して顔を上げた。
結構久し振りに見た梓の表情はもう曇ってはいなかったけど、何故か頬を赤く染めていた。
少しの間、二人で見つめ合う。
何だか照れ臭いな、って私がそう思ったのと同じ頃、急に梓が目を閉じた。
目を閉じた梓は自分の唇をそのまま私の唇に重ねようと近付け……。
瞬間。
驚いた私はその梓の両肩を自分の両手で掴んだ。
「ちょ……っ。えっ……? 何だ?
梓、ちょっと……、急に何を……、えっ……?」
心臓が激しく鼓動するのを感じながら、
私は自分でも何を言ってるのか分からない言葉を口にしていた。
何なんだ?
梓の唇が私に近付いて来た……?
私とキス……しようとしてたのか?
何で? どうして?
どうして梓は急に私にキスしようとしてるんだ……?
私の目の前に居る梓が寂しそうに大きな目を開いて、寂しそうに口を開いた。
次の瞬間、これまで梓の想いは何も分かってなかった私だけど、
その私がそれ以上に想像しようと思ってすら出来てなかった言葉が梓の口から出されていた。
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