547:にゃんこ[saga]
2012/06/12(火) 18:45:47.51 ID:CIyJ1PTT0
「梓、あれは……、あ……あれは……」
上手く言葉に出来ない。
上手く説明出来ない。
あの時、私がどうしてあんな事をしようとしたのか、自分でもはっきりとは分かってないんだ。
私は梓の温かさが愛おしかった。
優しさを求めたかった。
寂しさを紛らわせたかった。
それは間違いなく、言い訳しようの無い事実だ。
でも、それだけで同性の後輩を……、
梓を抱き締めたいと思うようになるものなんだろうか?
梓の事は好きだと思う。
小さくて可愛らしくて、私の事をずっと見てくれてる。
支えてくれて、引っ張ってくれてる。
梓が大好きで大切な後輩なのは間違いない。
ひょっとしたら、それはただの後輩に対して向ける感情じゃなくて……?
「律先輩、私……」
梓が顔を赤く染めたままで続ける。
その声色からは嫌悪感は全然感じられなかった。
むしろ嬉しそうに、優しい声色で囁いてくれていた。
「私、嬉しかったんです……。
あの日、お風呂の中で律先輩が私を抱き締めようとしてる事に気付いて、
最初はびっくりしたんですけど……、どうしたらいいのか分からなかったんですけど……。
でも……、やっぱり嬉しかったんです。
何の役にも立ててなかった私ですけど、何も出来なかった私ですけど、
律先輩が……私の事を大切に思ってくれてるって思うと、凄く嬉しくて……。
だから、私……、私も律先輩と……」
そこから先は聞けなかった。
そこから先の言葉を口にするには、梓も自分自身の想いが固まってないんだろう。
私だって固まってなかった。
自分の想いを完全に受け止めるには、まだまだ早過ぎる。
でも、梓と寄り添って、支え合って生きていくって想像は私を嬉しくさせた。
きっとそれは幸せな事だろう。
梓と抱き締め合ったり、キス……したりして生きていくのは、とても幸せな事なんだ。
私だって、幸せになりたい……。
だから、私は上半身を起こして、私の上に乗る梓を胸の中に抱き留めたんだ。
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