604:にゃんこ[saga]
2012/06/24(日) 17:46:00.55 ID:zgF1iagU0
「ごめんね、皆……。
私、いっぱいいっぱい泣いちゃって……」
「いいよ、唯。
大体、おまえ結構泣き虫なくせに、この世界に来てからは全然泣かなかったじゃんか。
まったく……、無理すんなっての。気が済むまで泣いててくれていいよ」
「えっ……へへ……、恥ずかしいな……。
でも……、りっちゃんとあずにゃんだって泣き虫さんでしょ……?
二人でずっと泣いてたんだよね……?」
「な、何を証拠にっ?」
「だって、二人ともお風呂上がりなのに、まだ目の周りが赤いよー?」
「こっ……、これはだなあ……」
言い訳しながら、梓と二人で顔を見合わせる。
誤魔化せるかと思ってたけど、やっぱりよく見ると梓は目の周りを泣き腫らしていた。
多分、私の目の周りも似た感じになってるんだろう。
泣く事が悪いわけじゃないんだけど、梓と二人で泣いてたってバレてるのは何か凄く恥ずかしい。
あー……、何かムギと澪から妙な視線を感じる気がするー……!
私は咳払いをしてから、どうにか話題を変えてみせる。
「そ、そういや、サヴァンで思い出したんだけどさー……」
「え、何々? 何を思い出したの、りっちゃん?」
よし、空気を読んでくれたのか、
純粋に興味があったのか、とにかくムギが食い付いてくれた。
私は必死に思い出した事を口に出して話を誤魔化す。
「脳にダメージがあって特殊能力が目覚めるって、トレパネーションみたいだよな」
「トレパネーション……?
それは知らないな……」
澪が不思議そうに呟く。
お、妙に色んな事を知ってる澪も、トレパネーションまでは知らなかったみたいだ。
何も言わないのを見ると、どうやら梓も知らないらしいな。
皆の豊富な知識に圧倒されるしかなかった私だけに、この状況はちょっと嬉しかった。
私は少しだけ得意になって話を続けてやる。
「私も漫画で読んで知ってるだけなんだけどさ、
トレパネーションってのは頭蓋骨に穴を空けて脳に影響を……」
「ギャーッ!!」
そう叫んだのはやっぱりと言うか何と言うか澪だった。
色んな恐怖に耐えられるようになった澪だけど、痛い話はまだ苦手らしい。
何か落ち着くな……。
「痛い話はやめてくれー……!」
言いながら、私と梓と結ばれてる手を使って、澪が自分の耳を塞いだ。
脳に痛覚は無いから痛くないらしいぞ。
って、雑学を披露するのはやめておいた。
まあ、そういう問題じゃないしな……。
澪は放置しておいて、とりあえず私は説明を続ける事にする。
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