61:にゃんこ[saga]
2012/01/28(土) 14:38:38.09 ID:5EkQnNsE0
「律先輩、純にパジャマ着せるの手伝ってもらえますか?」
「あいよ、了解」
梓に言われ、私は純ちゃんの頭から手を離して代わりに肩を支える。
「純ったら困りますよね」と苦笑しながら、梓が純ちゃんにパジャマを着せていく。
その手先は器用で、本当に慣れてるんだな、とちょっと感心した。
今までそれだけ何度も純ちゃんのパジャマを着せてあげてたって事か。
不思議ではあるけど、いい関係の友達だよな。
「んー……? あー……?」
パジャマの衣擦れがくすぐったいのか、
梓がパジャマのボタンを留める度に純ちゃんが変な声を上げる。
起きてるんだか、起きてないんだか……。
いや、きっと九割くらい寝てるんだろうな……。
この調子だと、パジャマの代わりに着ぐるみを着せてても、しばらく気付かないだろうな。
そういや、澪もああ見えて寝起きも寝相もいい方じゃないんだよな。
三年の学祭の時、
寝てる澪の腕に散々人って字を書いたのに起きなかったし、
ロンドンでの卒業旅行の時の澪の寝相も、そりゃひどいもんだった。
いや、ここだけの話だけど。
「さてと、次はズボンですね。
律先輩、純の身体をしっかり押さえてて下さい」
ボタンを留め終わると、梓が純ちゃんの足下に回って言った。
「しっかり押さえてて下さい」って暴れ馬じゃないんだから……、
と思った瞬間、純ちゃんは足下の梓に向けて鋭い蹴りを繰り出していた。
あっ、と私が声を上げるより先に、梓がその蹴りを見事に避けていた。
「もう……、律先輩、
しっかり押さえてて下さいって言ったじゃないですか」
「わ……、悪い悪い……」
梓が非難する様な視線を私に向け、私は素直に頭を下げて謝った。
言い訳する事も出来ない。
これは完全に油断してた私の失敗だ。
梓が見事に避けてくれて助かった……。
しかし、本気で鋭い蹴りだった。
純ちゃんの中の獣が叫んだんだろうか。
脳じゃなくて身体が足下の違和感に気付いて、本能的に蹴ったに違いない。
純ちゃん……、恐ろしい子……!
ついでにそれを見事に避けた梓も恐ろしい子……!
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