60:にゃんこ[saga]
2012/01/28(土) 14:37:56.20 ID:5EkQnNsE0
そういや、さっき私は今の純ちゃんの髪型を無惨とか考えてしまってた。
何かの事件に巻き込まれたのかと思ってたけど、
こうして眠ってるって事は、今の髪型は単なる寝癖だって事か……。
何か、ごめん……。
無惨な髪型とか考えて、本当にごめん……。
でも、言われてみれば、純ちゃんの気持ちも分からなくもない。
蒸し暑い夏の夜だってのに、昨晩私達は窓を閉め切って眠った。
誰も居ないこの世界だけど、悪意を持った第三者が存在しないとも限らない。
馬鹿みたいな考えだけど、エイリアンみたいな生物が居ないとも言い切れない。
だから、私達は学校の玄関まで完全に鍵を掛けて、眠る事にしたんだ。
安全を考えるとその選択に間違いは無かったと思うけど、
真夏の夜に完全な密閉空間で寝るってのは、かなり無理があったかもしれない。
暑さに弱い唯なんか、ぐったりして憂ちゃんに団扇で扇いでもらってたもんな。
私もそうだけど、現代っ子ってのはか弱いもんだ……。
こうなると電池で動かせる扇風機くらいは探してくるべきか。
電池の残量が心配ではあるけど、背に腹は代えられないしな。
「ほらほら、純。
起き……なくてもいいから、せめてパジャマの袖には手を通して」
気が付けば、梓がその辺に脱ぎ散らかされた純ちゃんのパジャマを拾い集めていた。
「起き……なくてもいい」ってのは、
そもそも起こそうとしても無駄だって事を知ってるんだろうな。
私も寝起きのいい方じゃないけど、流石に純ちゃんほどじゃないぞ。
その事に若干呆れはする。
でも、逆に頼もしくもあった。
こんなわけの分からない状況なのに、純ちゃんはいつもの元気な純ちゃんだ。
純ちゃんについては詳しく知ってるわけじゃない。
梓から聞く話で、どんな子なのか見当を付けてるだけだ。
元気でマイペースな子なんだろうなとは思ってたけど、そのくらいだ。
でも、こんな間近で純ちゃんと梓のやりとりを見られるようになって、気付いた。
梓は本当に純ちゃんに支えられてるんだって事に。
一見、梓が純ちゃんのフォローをしてるように見える。
それはそうなんだろうけど、きっと梓はそれ以上に純ちゃんの事を信頼してる。
大体、友達のために三年から部活を変えるなんて、そうそう出来る事じゃないよな。
澪の奴なんか一緒にバンドやろうって話をしてたのに、文芸部に入ろうとしてたしな。
いや、まあ、それは、二人で軽音部に入ろうと思ってる事を澪に伝えたのが、
軽音部の見学に行こうって誘った当日だった私にも責任があるんだろうけどさ……。
とにかく、梓が純ちゃんに支えられてるのは間違いない。
涙を流しながらも私達の卒業を祝福出来たのも、純ちゃんが傍に居てくれたからだと思う。
きっと私の知らない所では、色んな話をして、色んな事を考えてたんだろう。
私の知らない所で、純ちゃんは何度も梓の心を支えてあげてくれてたんだ。
純ちゃんにその自覚があるかどうかは微妙だけど、
そういう無自覚な優しさを持ってるって所も純ちゃんの魅力だと思う。
だから、梓は苦笑しながらも、純ちゃんの傍に居たがるんだろう。
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