76:にゃんこ[saga]
2012/02/02(木) 19:39:37.13 ID:sR4KlcE40
「ほら、これですよ、これ。
律先輩、これをちょっと読んでもらえますか?」
私と梓がオカルト研の変貌に沈黙してる間に、
純ちゃんは昨日見つけたらしい大変かもしれない物を手に取っていた。
私は純ちゃんに差し出されたそれを手に取り、じっと見つめてみる。
純ちゃんが言う大変かもしれない物……、
それは黒い紐でとじられた一冊のレポートだった。
レポートのタイトルには『フィラデルフィア実験文書』と記されていた。
梓が私の後ろからレポートを覗き込んで呟く。
「フィラデルフィア実験……?
何、これ……?」
「そうだよ、梓。フィラデルフィア実験……。
驚くかもしれないけど、律先輩と一緒に読んでみて」
言って、純ちゃんが真剣な表情で梓の肩を叩いた。
梓が不安そうな表情で私の肩を軽く掴み、それでもレポートから目を逸らさなかった。
私は小さく息を吐いてから、レポートの表紙を捲る。
このレポートを書いたのはオカルト研の部員の誰かなんだろう。
妙に可愛らしい丸文字でそのレポートは記されていた。
ただ、その丸文字とは裏腹に、内容は私達を戦慄させるものだった。
以下はレポートに記されていた内容である……。
第二次世界大戦中にアメリカのフィラデルフィアで行われたフィラディルフィア実験。
戦艦をレーダーから不可視化するための実験に使われたエルドリッジ号。
数々の電気機器を用い、船体をレーダーのみならず肉眼からの不可視化にも成功。
しかし、実験中に予想外の現象が起こる。
エルドリッチが突如実験場から消失。
その後、千六百マイル離れたノーフォーク沖への顕現を確認。
つまり、艦全体がテレポートしたと言うのだ。
エルドリッジはフィラデルフィアにその後帰還するも、
乗員の中には肉体が船体に溶けてしまった者や、
衣服のみが船体に焼き付けられた者、精神に異常をきたした者も居たらしい。
そして、その文書の最後にはこう記されていた。
近くオカルト研もこのテレポート実験に挑戦したい、と。
「な、何だってーっ!」
私の叫びがオカルト研の中に響く。
その叫びに梓が怯え、私の肩を掴む手に力を込める。
純ちゃんは怯えた様子も見せず、満足そうに私を見つめながら頷いていた。
657Res/1034.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。