過去ログ - とある白虹の空間座標(モノクローム)
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22:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2012/01/22(日) 00:16:41.73 ID:fjIUU0KAO
〜8月9日・叙〜

御坂「………………」

麦野「いつまで辛気臭えツラしてやがる。ほら」

御坂「あっ……ナチュラルティー」

麦野「熱いのしかなかったけど文句言わないでね」

白井らを通り過ぎた後、麦野は御坂を送りがてらナチュラルローソンへと車を回し、シャケ弁を買いに言った。
そして戻って来た時にはナチュラルティーが二缶その手にあり、内一つを御坂へと手渡した。

御坂「ありがとう麦野さん……やっぱり、あんた優しいね」

麦野「テメエが茶の一杯で済む安い女で私の財布にゃ優しいね」

それは去年の10月2日、御坂にSBCモカを投げて寄越した手付きそのままであった。
夏場にホットは如何なものだが、夕立が引き連れて来た肌寒さにそれは程良い温もりを宿して御坂の手と心を温めた。

御坂「ありがとう……ちょっと、びっくりしちゃってさ」

麦野「――寂しかった?」

御坂「うん……何だか、私が知ってたつもりでいた黒子って、最初からいなかったんじゃないかって。私、こんなんで黒子の先輩って言えるのかな……」

麦野「そんな事ないでしょ。考え過ぎだよ。あの子パンダがあんたにくっついて回るのだってあれはあれであんたにしか見せない素顔の一つだろ」

運転席の座りを直しながら麦野もまたナチュラルティーのプルタブを開け、一口含んで足を組んだ。
コールタールの雨空の下、コンビニの安っぽい蛍光灯の光が視力の落ちた麦野の目に痛かった。
そしてそれ以上に助手席の御坂の様子が痛々しく、麦野は憮然としながら一息漏らし、腕を天井へと伸ばし――

御坂「……どうなるんだろうねあの二人」

麦野「少なくとも外野がどうこうしてどうにかなる地点はとっくに過ぎてる。ククッ、ありゃあ荒れるねー」

御坂「そんな他人事みたいに言わないでよ!!」

麦野「他人事だよ。だから冷静でいられる」

御坂「きゃっ!」

伸ばした腕を御坂の肩に回し、頬を合わせて語り掛ける。
思わず近くにある美貌に、御坂はかつて麦野の部屋に泊まった夜の事を思い出した。

麦野「――今ここに手のかかるガキがいて、その上子パンダの事まで気回せるほど私は出来た“先輩”じゃねえんだよ」

御坂「……麦野……さん」

麦野「だからテメエは誰よりもあいつの側にいて、その上で一歩引いて見られる“先輩”でいなよ」

それは麦野が、御坂美鈴に出会った夜でもあるのだ――




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