過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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211:ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 4/16 ◆pxtUOeh2oI[sage saga]
2012/04/12(木) 23:59:50.86 ID:Ok8I1j8fo
 髪をバレエダンサーみたいなシニョンにしていて、ザマスとでも喋りそうなメガネをかけている。年齢は三十
代の前半か中ほどの結構、美人。若い頃には持てただろうと思うけど、結婚はしていないらしい。つまるところ
のオールドミスという奴だ。
 彼女はいつも着ている白衣を着ていない。教室のカーテンも何かの実験でもやるかのように閉められていた。
なにやら嫌な雰囲気がする。あたしは数学が苦手であるとする(仮定)。よって物理も苦手なのだ(定理)。数
学が大嫌いという仮定は真である(公理)。ゆえに物理の先生に親しみはない。Q.E.D!。
「こんにちは……」あたしは沈黙をやぶろうと挨拶をする。
 そんな声に応えるかのように、スピーカからチャイムが響く。
「こんにちは」クーヘレン先生が微笑んで、前の方の席を手で示した。「好きなところに座って」
 ここで一番後ろの席についたらどうなるだろうか、と考える。もちろん考えるだけで、足取り重くスムーズに
前の方の席に座った。
「では、授業をはじめます」
「あの、質問は……」あたしは片手を小さくあげた。
「どうぞ、適宜、してくださって結構です」
 それはいつもの物理の授業と同じスタイルだった。それがわかっているから手をあげた。
「今は保健体育ですよね? あたしだけ物理の補習とかじゃなく」
「ええ、物理の補修は別に行う予定です」
「えっ」
「冗談です」
 先生のアルカイックスマイルは神秘的なので怖い。
「今日は私が保健体育の授業を行います。理由はわかりますね」
 まあ、なんとなくは見当がついた。つまりはそういうことだろう。
「見苦しいかも知れませんが、一応、証明を見せましょう」
 クーヘレン先生は、背後に両手を回して、ブラウスのボタンを外していった。そうして、自由になったブラウ
スを前でおさえて、背中を見せる。
 傷跡が二つあった。
 白い肌よりくすんでいる島が二つ、ブラ紐の上、肩胛骨の隆起に合わせるように存在している。それは、あた
しの背中にあるものと良く似ている。違いがあるとするのならば、彼女のそのしぐさと白い体がとても美しいも
のだ、と感じたことだ。部活動で日に焼けたあたしの体とはまるで違う。
 あたしが、男子だったのならば、その傷跡に指を添えて滑らせただろう。そんな光景を想像して唾を飲んだ。


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