297:猫ごろし(お題:坂道)2/2[saga]
2012/05/06(日) 15:37:17.09 ID:18J52/4AO
彼はこの日のために階段坂を毎日走り込んでいた。ついでに餌を好物のまぐろ缶にするよう主人と交渉してきたのだ。
次に後ろ足で地面を叩き、前足を横に揃えてみょーんと垂直に飛び上がる。くるりと中空で半回転、とんっと右前足一本で逆立ちした。
ぐっと肉球に力を込めて、毛のふさふさした右前足の肘を限界まで曲げる。
そして右前足をバネのように弾ませる。再び中空に舞い上がり一回転、二本足ですとんと着地した。
最後に控えるのは最大の難関。通称猫ごろし。
まわりからゴロゴロと期待と不安の入り混じる音が鳴る。
彼は猫耳をぴんと張りつめ、覚悟を決めた。
「にゃ〜(うりゃぁぁああああぁぁ!!!)」
背筋を思いきり弓なりに仰け反る・・・・・・仰け反る・・・・・・
ぱたん。
彼は棒のように硬直したまま空を仰いだ。
いまだこの儀式を成功させたものはいない。
餌はカリカリに戻された。
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