488:バカップル(お題:愛すべき馬鹿 ・シーソーゲーム) 1/2
2012/06/08(金) 03:45:30.55 ID:KP45egqk0
昼休憩に入る事を告げて更衣室に急ぐ。
やっぱり、ロッカーの中では彼女からの返事が短く点滅していた。
微笑ましい言葉一つ一つに頬が緩ませながら、内容のあらましを頭に入れて携帯を閉じる。
彼女の言葉がしみた脳には光らなくなったランプすら愛嬌のある瞳のように思えて愛らしい。
なんと返事しようか考えながらコンビニの弁当を開く。
どんな言い回しなら一番ウケてくれるか頬の閉まりに気をつけながら咀嚼する。
こんな時、本当に世の中が便利で良かったなんて事を考えてしまう。
僕と彼女の距離は新幹線の力を借りても数時間。
僕の力だけでは決して叶えられない距離を結んでくれる携帯電話。
俗に言う“遠距離”の僕達を近づけてくれるインターネット。
科学の力が無ければ出会えなかった二人なんてちょっとしたSFなんじゃないだろうか。
丁寧に蓋を閉じて、袋の口も縛ってから携帯を開く。
返事には誤字も彼女の言葉の引用の間違いも許されない。意図的にする事で彼女の反応を引き出すことはあっても、
凡ミスでというのは僕自身の美学が許さない、頭の悪い男だなんて思われたくないもの。
顔文字やスラングも使わないし好まない彼女はぶっきらぼうにも見えて友人の評価はイマイチだけど。
知性的で不器用。そんな所も可愛らしくて大好きだから、僕はずっとふさわしい男であり続けたい。
携帯を閉じて席を立つ。
次は仕事が終わるまで携帯をチェックできない。
僕の返事になんて応えてくるだろう。頭の良い彼女の返す刀は僕の甘い所を見逃さないで切り込んでくる。
意地っ張りで負けず嫌い、彼女は本当にSo Cute。
もちろん彼女が気付くだろう隙もさっきの返事に盛り込んだ文章だけど、彼女の独創性は稀に想定外の反応を見せる時がある。
予想通りな彼女、想定外な彼女、いくつもの面を見せてくれる彼女の魅力。
返事を想像するだけで、退屈なルーチンワークもあっという間に過ごせる。
ポケットの中のランプを撫でながら作業場に戻った。
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