過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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710:世にも地味に奇妙な話 2/4 ◆F00SERh74E[sage]
2012/07/29(日) 18:44:28.56 ID:wQd2OveG0
「何でこんなことになったのかは俺にもわからん。あくまで直観だが、これに合理的説明を加えようと
しても無駄だという気がする。何でこんなことを話すかってことだが、まさにそれが俺がこっちに来た
目的なんだ」
 俺は無言で続きを待つ。こういう時酒は便利だ。いったいこの元同窓生は何を言い出すんだ。予想も
つかない話の流れに、真偽はともかく好奇心を抱きつつある自分を発見した。
「とにかく俺の話を聞いてくれ。とはいえどう話せばいいのか自分でも見当がつかない。話すべきこと
はたくさんあるはずなんだが、全てデタラメのような気がしてくる。そうだな、まずさっきそれが流通
してるって言ったよな」
 高木は俺の持つ硬貨を指した。
「正確には流通してた、だ」
「それは日本中どこでもそうだろう」
「確かに。しかし問題は、旧五百円玉に取って代わったのが百円札だということだ」
 吹き出しそうになるのをなんとかこらえる。
「とにかく俺の地元は現在進行形でおかしなことになってる。使われなくなったはずの貨幣がどこから
ともなく現れては当たり前のように支払いに使われる。誰も疑問に思わないんだ。しまいには周りの方
が正常で、狂ってるのは自分の方だという気さえしてきた。どちらが狂ってるか確かめるために、こう
してお前を訪ねて来たってわけだ」
「とりあえずその異変とやらが起こり始めた所から話してみろ」
 俺が話を聞く態度を見せたので落ち着いたのか、高木は順を追って話し始めた。

 高木は実家に寄生しつつ、コンビニでバイトをして生活している。広々とした駐車場を備えポツンと
建つ店舗は、地域と地域を結ぶ幹線道路に面している。車での来客を前提に出店されたが、今や近所の
細々とした個人商店を駆逐して地元経済の中核を為しているという。コンビニなどとは相性が悪いと思
われがちな老人層も資本主義的に計算された味を覚え、たまに訪れる若者なんかよりも有り余った金を
落として行く上客になっているらしい。高翌齢者向けに、弁当・惣菜類の宅配までしているというから驚
きだ。


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