754:彼女たちの絆(お題:ロリ) 2/8 ◆HmfYvBHWkM[sage]
2012/07/29(日) 23:40:03.29 ID:8q5/v6ip0
店を出て数分、私達はかがやきへと向かうため道を歩いていく。雲ひとつない空に燦々と輝く太陽も鬱陶しいが、
足元から立ち上るアスファルトの照り返しも鬱陶しかった。おまけにビルの反射光が私達へ容赦なく降り注ぐ。
周りには人がひっきりなしに歩いている。老若男女問わず、その顔は抜け殻のように虚ろだった。服装はどこか
薄汚れており、さっき私とすれ違ったサラリーマン風の男は、よれよれのシャツに皺だらけのズボンという姿だった。
そして、一体この中の何人がチカラを持っているのだろう。
そんな事を考えながら歩いているだけでも汗が全身から噴き出し、肌着がべっとりと張り付いている。
「あ゛〜〜あ゛づいよ〜あいすだべだいよ〜」
後ろをアヒルの雛みたいについてきた愛香がぐったりとした声をあげる。場の雰囲気なんてあったもんじゃない
けど、愛香はまだ小学生だから仕方ないか、と自分を納得させる。
「アイスならさっきお腹いっぱい食べたでしょ?」
私の突っ込みにすかさず愛香は胸を張って即答する。赤いフリルのワンピースがふわりと揺れる。
「あいすとけぇきは、べつばらぁ〜」
ひょこひょこと動くたびに栗色のおさげが自己主張する。やれやれ、同じスイーツでも胃袋は種類ごとにあるようだ。
「愛香、この仕事が終わったら美味しいスイーツの店があるから、また三人で一緒に行こっか?」
私と肩を並べて歩いていた真里菜が妹に呼び掛ける。
「いよっしゃー! やったあっ! ぜーったい忘れないでね、やくそくだよっ?」
「約束する」
表情一つ変えず答えた真里菜に対し、愛香は白い歯を見せてにかっと笑う。
「ありがとう真里菜。ホント、愛香は単純なんだから……」
「うん、初めて会った時から全然変わってない」
全くその通りだった。私が初めて会った時もスイーツの話をした途端、満面の笑みを浮かべていたっけ。
一人きりになってしまった自身の境遇など忘れたと言わんばかりに、あっけらかんと。
「真里菜はだいぶ変わったよね。初めて見た時なんか、これは私が何とかしないと絶対にだめだって思った」
そう、初めて会った時の真里菜はどこか諦めたような――感情の見えない真っ黒な瞳で私を見つめていた。
真横には腹部に大穴を開け、血だまりの中悪鬼のような表情で絶命した男が一人。
少女の血に塗れたノースリーブからはにゅっと突き出た赤白まだらの腕と脚。
すっかり痩せ細ったそれは鮮烈で、放っておけなくて。
「……うん、助けてくれてありがとう。このチカラがなかったら、きっと、みんなとは……」
ボブカットに長い黒髪が特徴の我が妹はぽつりと呟く。
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