過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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755:彼女たちの絆(お題:ロリ) 3/8 ◆HmfYvBHWkM[sage]
2012/07/29(日) 23:43:00.12 ID:8q5/v6ip0
 頼れるのは自分自身のチカラだけ。
 そんな彼女の状況は、私達と全く一緒だった。頼れる人がいない少女三人が生きていく術なんて限られている。
 同情や憐みなんかじゃない。同じ境遇なら、二人より三人の方が強いに決まってる。力を合わせて、生きていくんだ。
 そこに血の繋がりがなくても。
「だから、ね。リー……由樹お姉ちゃんのためなら、何でもする、よ?」
「あたしも何でもする〜」
 真っ直ぐな瞳とくりくりした可愛い瞳が二つずつ、合計四つの瞳が私の目をしっかりと捉える。
 危険な仕事でも、お姉ちゃんと一緒にやりたい。私が妹達の熱意に負けた時に見せた、あの時の目だった。
 そんな健気な妹達を見た瞬間、私は我慢できなくなって――
「ごめんね……人殺しの手伝いをさせるなんて、ごめんね……」
 涙が、とめどなく溢れてきた。
「私達だってお姉ちゃんを助けたい。何もせずただ生かされていくだけっていうのはイヤなの。それに愛香だって
お姉ちゃんのためなら何でもするって言ってるし、ね?」
「うん、うん……ありがとうね……真里菜、愛香……」
 差し出されたハンカチで両目から流れた水を拭う。紫陽花みたいな淡いパステルブルーの、爽やかなハンカチで。
「……さあ、行くよ! 二人とも! あと、私のことは今まで通りお姉ちゃんとか、由樹お姉ちゃんと呼んでよろしい!
私達に場の雰囲気なんて言葉は、いらないから!」
「うん、由樹お姉ちゃんと一緒ならどこへでも行ける!」
「いくぞぅっ! おねえちゃん!」
 一歩踏み出し、足裏でじっくりと地面の感触を確かめる。そう、私達は前に進むしかない。かがやきの本拠地へ向かって。


 ダラダラと流れる汗を拭いながら地図を参考に歩くこと二十分、やがて二つの雑居ビルが立ち並ぶ場所に辿り着く。
周囲にはすっかり老朽化し、腐った木造二階建ての家が立ち並んでいた。瓦屋根はひび割れ、足元には雑草が生い
茂っている。私達がスイーツでお腹を膨らませた市街地とは全てが違っていた。
 町の中心は華やかでも、しばらく歩けば景色は一変してしまう。これまで何度も見てきた格差社会の現状だ。
そして、発展から取り残された住宅街と同化するように立ち並ぶ、みすぼらしい二つのビル。
「えっと……あっちが白鳥ビルでこっちが大月ビル。うん、ここで間違いないね」
 私達はくたびれた家の物陰に身を寄せていた。二つのビルから約五十メートル離れた地点から、目的地を凝視する。


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