過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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772:てぶくろ(お題:ロリ)2/4 ◆xaKEfJYwg.
2012/07/30(月) 00:08:43.26 ID:b/0IA63qo
 友人は、そう言ってしまってから、私の白い手袋を見つけて、言葉を濁した。
 私は、苦笑いを浮かべて頬を掻く。
 誰のせいでもない、これは私のせいなんだよ。と彼女に言おうとした。
「ありがとう。ボールでも持って、一緒に遊んでみるね」
 友人の助言を受けて、ボールを持参したのが今日の帰り道だった。
 いろはと私は、帰り道の途中にある小さな公園でボールの投げあいっこをした。私は手を洗い、
いろはは草むらでいろんな種類の虫を発見して私に披露した。
 披露している彼女の顔は、まるで自分だけの秘密の宝物を見せてあげるといったふうだった。
おねえちゃんだから、見せてあげるんだよ?
 私は虫の恐怖でそれどころではなかった。

 お風呂で丹念に体の隅々を洗い、ドアノブをアルコールで拭き、部屋に戻って掃除機を掛ける。
そこまでして、やっと学習机に向かい日記を書く作業に取り掛かった。
 思い出すことは全ていろはのことだけだった。
 いろはが、私と直に触れ合いたいのは分かっている。手袋を嵌めた瞬間の、おどおどした態度、
泣きそうな表情は、全て私が悪いのだ。この病気を治すために病院だって行った。投薬治療の
効果は今のところ見られなかった。
 日記を書いて、もう一度書き終わった文章を見直してみる。
 一つ一つが小さく畏まっている文字は、何度も見慣れているはずなのに、無性に私を苛立たせた。

「おねえちゃんはわたしのこと、嫌い?」
 白い手袋越しに、いろはの緊張が伝わった。
「大好きだよ」
 私はいろはの言葉に返答して、付属小学校の正門まで急いだ。今日の登校は、なぜかいろはが
待ち合わせ場所に遅れて来たので、急ぎ気味だったのだ。
「うそだ」
 正門に着くと、いろはのワンピースの肩紐を直し、前髪を直してやって、頭を撫でた。
「大好きだよ。ほら、早く行かないと、先生に怒られちゃうよ。今日の帰り、一緒にアイスでも食べよう」
「はーげんだっつがいい」


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