909:感想[sage saga]
2012/08/06(月) 00:25:44.14 ID:XiPSvHLq0
>「ずっと面白いって信じながらいろいろやってきたじゃないか。君が曲げなかっただろう信念は本物だよ。それを今
>更曲げてどうするのさ」
>「僕らのこれまでを楽しくなかったなんて言えるのは、僕らだけだよ。それを君が楽しくなかったなんて言ったら、
>他でもない僕らがかわいそうだ」
主人公はここで自分の意志を明確にする。何もかも不安定だった中やってこれたのはひとえに君に対する絶対的な信
頼があったからだと。そして「彼女」もそれに応える。主人公に対する絶対の信頼があるからこそ、一旦離れても問題
ないのだと。ここで不安定なままだった関係性は確実なものに変わる。
> 僕はもう一度海を見た。明け方の海は変わらず静まりかえっていたが、しかし夜の海には無い、去る者を送るよう
>なやさしさがあるように感じた。自然に笑顔になれる。
めでたしめでたし……と言いたいところだけど、正直言って6レス目からの展開はお粗末。無理矢理に話に収拾をつ
けようとして、読者を置き去りにしてしまっている感がある。卒業するからなのね、ではフォローしきれない。大体こ
れまで君らはなにしてたんだと。卒業したらどうすんだと。そういう消化不良感がある。
でもこういう処理の拙さは物語を展開させるのが下手なんじゃなくて、作中の登場人物が醸し出す緊張感に作者が負
けてしまった、という印象を受ける。これは悪いことじゃない。だって、緊張感を作り出しているのも作者なんだから。
もしくは、自分の作り出したはずのものが自分の手に負えなくなってしまった、ということは小説にとって理想的な、
人物が勝手に動いていく、という状況を作り出せていることにもなる。そういう風に積み上げていったものをなんとか
解決させようとすると、こうなってしまうのはしかたないんだろうな。
こういう作品には改善点を挙げるよりも、どれだけ登場人物達に寄り添えるか、という作者自身の問題に全てがかか
っていると思うから、正直与えられる助言はなかったりする。個人的な趣向でいうならこの緊張感を最後まで読ませて
ほしいし、無理矢理な解決をつけなくてもいいのでは、と言ったところ。作者の意図がどうかはわからないけど、この
緊張感をどうにかして書きたかったんだろうな、と推測できるから、ならそれだけでもいいんじゃない、というわけで。
もし投票に間に合っていたならあと一歩、という意味を込めてこれだけに関心票を与えていたと思う。
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