過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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942:みんなでしあわせになりたいな 5/8 ◆pxtUOeh2oI[saga]
2012/08/12(日) 16:22:25.74 ID:Fg9PIfkpo
 ミズキはアズランさまに帰るようにという視線を送る。目には涙がにじんでいる。
 アズランさまは、自分にできることを考えた。だけどそんなものは何もない。力の源である信じる者がここにはかよわいミズキしかいない。そして周りに、信じない者が多ければ多いほど、力がそがれてしまう。今、ここでアズランさまにできることなんて普通の人間にできることほどもないのだ。
「昔は、こうやって魔女を殺したらしいぞ」
 男の子がどこかから持ってきたらしい、ライターでミズキの髪に火をつけようとした」
「ふざけんなよ」
 ミズキは熱を感じて机を押し出し、机ごとライターを持っていた男の子を突き飛ばした。
 それを見て、怒った周りの男の子がミズキを押さえつけた。
 アズランさまはミズキを助けようとしたけれど、ミズキ以外にふれることもできない。
 教室は大騒ぎになって、他のクラスから教室を除く子供達が増えて行った。ぎゃあぎゃあ地獄の餓鬼みたいに
わめきさわぎたてる子供達。何かのイベントみたいで、もしかしたら、数年後にあんなことあったよね、と笑っ
て話せるかもしれないそんな感じの大騒ぎ。
 だけど、それは、やられている当事者以外の話。
「何やってるんの!」
 誰かが呼んできたらしい先生がやってきた。男子は今にも火をつけようとしてたライターを隠す。
「国府津が、いきなり机で押してきたんです」周りにいた、男の子の味方が言う。
「こいつが人の髪に火をつけようとしやがった」
 ミズキはまったく冷静さを失ってさけんだ。
「おまえの気のせいだろ。頭おかしいんだよ。なんか一人で言って笑ってたし。宗教のせいで幻でもみたんじゃ
ね」
「そういうことを言うのはやめなさい」先生が男子をたしなめる。「火をつけようとしたのを見た人はいますか?」
 誰も答えなかった。俯いていた。そんなこの状況が、ミズキに友達がいないことをしめしていた。それがわかっ
ているから、こいつらもこんなのことができるのだとアズランさまは思った。
「ふう……。何かあったかもしれませんが、国府津さんも乱暴はやめましょう」
 先生の言葉にあの男の子達がにやにやと笑う。
「もっとみんなと仲良くしましょう。アズーリ教ですか? それも個人の自由ですが、そんな宗教なんかでケン
カをしていては損じゃないですか」
 ミズキに味方はいなかった。
 アズランさまは、「ごめんね」と膝をついてなんとか体を起こしているミズキを抱きしめた。熱かった。泣い
ている。放心している。目が力なく。まるで、ただ、意識の固まりだけになったように。エネルギーだけを感じ
た。


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