943:みんなでしあわせになりたいな 6/8 ◆pxtUOeh2oI[saga]
2012/08/12(日) 16:22:54.80 ID:Fg9PIfkpo
そのとき、イカズチが走った。
アズランさまが、弾き飛ばされる。人々を縫う様に走ったイカズチは、黒板をまっぷたつに引き裂いて火をつ
けた。
悲鳴がうずまく。
魔法は人には見えない。ただし、力を物理現象に換えるまでは。
魔法を使ったのはアズランさまではなかった。ミズキがやってしまったのだ。
「なんかなんて言うな!」
ミズキが泣き叫ぶ。イカズチとかまいたちが教室を荒らす。かろうじて人は傷つけていない。まだなんとかぎ
りぎりのところで留まっている。
「国府津が狂った」誰かが言った。
「なんだよこれ」泣き出す奴もいる。
ミズキには魔法の才能があった。大昔ならば、賢者として皆にあがめられるぐらいの才能だ。しかし、今、現
代にその才能の発露はない。
だからずっと奥の方で、死ぬまで隠れていたであろう力だったのに、目覚めてしまった。ミズキの信じる心と
目的を達するための最高に純度の高い望みよって。
事件は学校中に波及した。多くの人間が逃げ惑う。進化した科学も、突如発生した魔の台風に太刀打ちするよ
うに準備はできていない。
「やめて、ミズキ」
アズランさまはミズキにかけよって止めようとする。だけど近づけない。弾き飛ばされる。ミズキはアズラン
さまを意識できないぐらいに暴走していた。
「なんだよ、お前。誰だよ」
何がなんだかわからないまま腰を抜かして泣いていたかの男の子はアズランさまを視界に捉えた。魔法を信じ
てしまったから。
「みんな消えちゃえよ」
炎の玉が男の子めがけて飛ぶ。アズランさまは、それをなんとか魔法で逸らした。自分に力が戻りつつあるこ
とがアズランさまにはわかった。多くの人間がこの異常現象を信じ始めたのだ。
このまま力が戻ればミズキを止めることができる。ただ気は抜けない。ミズキの願望が強まっていけば、それ
だけミズキの力も増えるのだ。ミズキには一瞬にしてこの学校を消すような力が備わりつつある。
アズランさまは、まず、学校中の人間を校庭にワープさせた。
教室にはミズキとアズランさまだけ。
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