305:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/08(木) 23:01:18.40 ID:W3LbWl8+o
ところががっかりしたことに、その後何度更新してもレスがつかなかった。こんなことは初めてだった。意気込んで、覚悟を決めて女神板に乗り込んできたあたしは肩透かしを食らったように感じた。VIPみたいに勢いのある板ではないことは承知していたけど、これでは料理板の自炊スレと変らない。あたしはがっかりしたけど、レスがつくまでの間に数枚の写真を撮影しておこうと考え付いた。女子大生なのだから高校の制服はまずい。あまりお洒落ではなくて日常的な生活臭のする服装をしようと、あたしは考えた。その方が最終的に下着姿や素肌を晒した時のインパクトが大きいだろう。半分部屋着のようなラフな格好に着替えたあたしは、姿見の前に立ってスマホを使って撮影を始めた。服を着て立っている画像(この時はまだ、後に多用することになるフォトショの使い方さえ知らなかったので、顔は初めから構図の外に外していた)、同じポーズで上半身はブラのみの画像。そして最後にブラとパンツだけの画像。
考えてみればスカートを捲くったりブラウスのボタンを少し外して肌をチラ見せするところまではしたことはあるけど、下着だけでの全身をうPするのは初めてだった。女神板なんだからこれくらいはしないと相手にされないかもしれないと、あたしは考えたのだ。
あたしは撮影を終えると、そのままスマホに保存した画像をいつも使っていたロダにアップした。
306:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/08(木) 23:05:05.42 ID:W3LbWl8+o
あたしのことをモモと呼びかているレスを見た時、あたしは密かに興奮した。名無しではなく、ついに固有の名前で呼びかけられたのだ。しかもこれだけの人たちがあたしの登場を待っている。ROMは少なくともレスする人の数十倍はいるだろうから、そう考えると100人以上の人があたしにうPに期待しているのだ。それでもレス数はVIPの女神スレに比べれば少ないもいいところだったけど、VIPと異なりコテハンが叩かれないというだけでも、あたしには有難かった。あたしはここでついに名前を得たのだった。
それにしてもこれ以上引っ張ることはないだろう。もったいぶるほどの体ではないし、これ以上待たせてスレが荒れるのも本意ではなかった。あたしはあらかじめうPしていたロダのURLをレス欄に書き込んだ。
307:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/08(木) 23:08:48.27 ID:W3LbWl8+o
モモ◆ihoZdFEQao『貧相な胸で恥かしいです。叩かないでくださいね』
スレを更新した瞬間、前のうP以上の数のレスが表示された。
308:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/08(木) 23:12:12.63 ID:W3LbWl8+o
モモ◆ihoZdFEQao『構ってくれてありがとう。明日早いので今日はもう寝ます。もうちょっとしたら画像は削除します。みんな、愛してるよ〜』
最初だし撮り溜めていた画像ももうなくなったことだし、あたしは女神板デビューを早々に終らせることにした。期待していた以上の手ごたえと奇妙な興奮を覚えながら。
更新すると、再びレスが追いつけないほど付いていた。
309:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/03/08(木) 23:13:05.66 ID:W3LbWl8+o
短いけど本日の投下はここまでです
明日は飲み会につき休載予定です
また週末に再開します
310:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]
2012/03/09(金) 01:01:53.32 ID:G7CqKx9i0
乙
311:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]
2012/03/09(金) 18:21:12.48 ID:pL/uMmnYo
乙
312:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/10(土) 23:05:52.60 ID:W3+rXRWto
これがあたしの女神板デビューだった。その時から高校2年生の現在に至るまで、あたしは女神行為を続けてきた。自分の肌を人目に晒すことへのドキドキした性的快感に近いあの感情は、女神行為を繰り返しているうちにいつの間にか消えてしまっていた。女神行為に慣れてくるとあたしはこの作業にに習熟し、熟練の職人のように一連の工程をこなすようになっていた。撮影、フォトショップで画像加工(主に顔がわからなくする処理だった)、リサイズ、アップロード。そして、スレに常駐する住人に媚びたレスをして画像を貼り付ける。女神行為に際して性的な面で感覚を揺るがされることはなくなっていたけれども、画像を見た人たちに賞賛され親しく話しかけられることに対する快感は少しも減ることはなかった。もちろん、それすらなくなっていたら何のために肌を晒しているのかという話になる。他人に認められたいという欲求、そしてあたしを認めてくれる人たちと親しくなりたい欲求は、女神となって画像を投下するとその瞬間は満たされる。でも、パソコンの前を一歩でも離れ、スレとは関係のないリアルなあたしに戻ると、当然ながら学校でも家庭でも一人ぼっちなあたしがそこにいるだけだった。やがてあたしは、他人に自分を認めて貰いたいという欲求から、家の外にいる時でも常にスマホで2ちゃんねるを覗くようになった。つまり典型的な構ってちゃんになったのだったけど、それでも女神雑談所のスレにあたしのコテトリで書き込めば、うpがなくてもたいていの場合、モモを知っている人がレスしてくれあたしの相手をしてくれた。
313:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/10(土) 23:09:33.66 ID:W3+rXRWto
朝は、家で2ちゃんねるなんて見ていたらお母さんに不審がられることは明らかだった。それで、あたしは早目に家を出て最寄の駅のホームで電車をやり過ごしながら、ベンチに座りこんで自分のスマホを使い前の晩の女神行為に後に付いたレスをチェックしたり、常駐しているいろいろなスレにレスしたりするようになった。そんなことに夢中になっていると時間はすぐに過ぎてしまい、あたしは遅刻寸前で学校に間に合うぎりぎりの電車に乗って登校するようになった。入学以来ただでさえクラスの中で浮いていたあたしは、遅刻ぎりぎりに教室に駆け込むようになると、今まで以上にクラスメイトに距離置かれるようになった。
こうして、典型的なぼっちの高校生活を送っていたあたしにも初めてリアルで気になる男の子ができた。そんな感情を抱くのは中学の頃少し付き合った彼氏以来始めてのことだった。
314:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/10(土) 23:12:36.68 ID:W3+rXRWto
・・・・・・今朝はつまらないな。あたしはぼんやりと考えた。今朝は誰もあたしを構ってくれない。女神以外で常駐している自炊スレはもともと過疎っていることもあり、三日前から新しいレスはついていない。VIPの方もスレ一覧をざっと見たけど、興味を惹かれるようなスレは見当たらなかった。まあ、こういう時もある。あたしはスマホをしまってぼんやりと朝の通勤通学客で混みあうホームを眺めていた。その時、電車がホームに滑り込んできて、乗客たちが一斉に電車のドアの方に群がっていった。混んではいたけど、あたしが普段飛び乗っているぎりぎりの時間の電車よりは空いていた。今日はもうこの電車に乗って学校に行ってしまおう。あたしはそう思ってベンチから立ち上がった。その時、同じ学校の制服を着た男女が三人が、あたしと同じドアの前に並んで乗車する順番を待っていることに気がついた。
それが兄との出会いだった。
315:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/10(土) 23:15:58.75 ID:W3+rXRWto
兄君と二人の女の子のうちの一人、幼馴染さんのことは同じクラスだったので顔を見たことはあった。幼馴染さんは綺麗な子でよく男の子に見つめられたり告白されたりしていた。もう一人の顔を知らない女の子は1年生を表す色の徽章を付けていたけど、混んだ電車の中で彼らの話を聞くともなく聞いていると、その1年生の女の子は先輩のはずの兄君と幼馴染さんに全く遠慮したり気後れしたりする様子がなく、気軽そうにタメ口で兄君と幼馴染さんに対して楽しそうに何かを話かけていた。兄君と幼馴染さんもその子のタメ口を気にする様子もなく笑顔で返事をしているようだった。この子も凄く可愛らしかった。あたしが入り浸っているVIPとかで彼女が女神として光臨したら、以前見かけた女子中学生のようにお祭り状態になったに違いない。幼さを残したその子はそれくらい可愛らしかった。
それにしても彼らはどういう関係なのだろう。これまでリアルな人間関係に興味がなかったはずのあたしは、その時珍しくその3人に関心を覚えた。たまたま今日がそうだっただけなのかもしれないけど、男一人と女二人という組み合わせにも何か意味深な感じがする。電車が駅を離れ速度をあげると、電車の中の人混みに押されたあたしはドアの近くから電車の中ほどまで押し出された。何とか吊り輪に掴まり体勢を整えた時、あたしは期せずしてこの三人組の至近距離に来ていることに気がついた。あたしのように吊り輪を確保できなかった彼らは電車の振動に耐えながら、賑かに話を続けていた。その時、突然電車が急停止した。
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