785:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/02(水) 23:27:03.88 ID:ubUBDJEVo
・・・・・・ざっと見た限り女の姿は見当たらないようだった。おかしい。
今日が僕の合格発表の日だと言うことは彼女も知っているはずだった。約束していたわけではないけど、受験生が今日の結果を担任に報告しに学校に来ることは、校内の人間ならみんな知っていたはずだった。その日の放課後に女が教室にいないなんて。図書館で待っていることはありえない。僕自身がさっきまで図書館にいたのだから。きっと、彼女はちょっと席を外しているだけなのかもしれない。僕は女の席の机を見た。その席は完全に片付けられていて、机の上にカバンがおいてあることもないどころか、机の中にも物一つ入っていないようだった。
どうしたのだろう。少し不安になった僕は背後から話しかけられた。
「先輩」
副会長だった。まだ、ここにいたのか。僕が返事するより早く彼女が言葉を続けた。
「もしかして、女ちゃんを探してるんですか」
「あ、ああ」
僕は口ごもった。副会長はなぜ自分の告白に僕が応えなかったのかを知っていたのだから、その時の僕の心境は複雑だった。
「・・・・・・先輩、もしかして女ちゃんを探してるんですか」
遠慮がちな小さな声で副会長は言った。ここで誤魔化してもしょうがない。僕は素直に答えた。
「うん」
「あの、先輩。ご存知ないんですか」
おどおどとした副会長の声。一体何が言いたいのだろう。言いたいことがあるなら早く言えよ。僕はその時、理不尽にも八つ当たり気味な感想を彼女に対して抱いた。
「・・・・・・何が?」
「女ちゃん、一昨日転校したんですよ。確か、東北の方二転校するって言ってました」
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