909:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/15(火) 23:32:43.52 ID:Bk01SXm7o
部室に入ると妹はもう既に部室に来ていて、相変わらず所在なげにぽつんと座ったまま俯いてスマホを弄っていた。
「やあ」
僕は妹の別れ際のキスを意識してしまい、少しぎこちない声で妹に声をかけた。
「あ、先輩」
顔を上げた妹の表情にぱっと笑顔が灯った。彼女は初対面の時とはうって変わったように親し気な態度を僕に示した。
「昨日はありがとう、先輩」
「いや、僕の方こそ」
僕の方こそとは変な切り返し方だった。これではまるで僕が妹のキスに感謝しているみたいじゃないか。僕は少し狼狽したけど、妹の笑顔を見ているとさっきの部室での屈辱的な会話でささくれ立っていた心が癒されていくように感じた。
「ここじゃまずいから、部室を出て場所を変えよう」
その言葉の意味は彼女にもすぐに伝わったようだった。
「うん。どこに行くの?」
彼女はもう僕のことを信用しているようで、すぐに自分のバッグを持ち上げて立ち上がった。
「この時間なら屋上には人気がないだろうし」
「そうだね。人目があったらまずいよね」
妹は言った。僕に人気のないところに連れられて行くこと自体には警戒心すらないようだった。
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