922:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/17(木) 00:02:36.40 ID:5/LK2Ndho
屋上から見下ろす町の建物からは灯りがあちこちに点き出していた。空も薄暗くなってきていて、完全下校時刻ももうすぐだった。これで妹が決断しないなら今日はここまでにしよう。
下校時間のアナウンスが流れだした。僕は妹の方を見ないで立ち上がった。
「今日はもう帰ろう。校門も閉まっちゃうし」
僕はそう言ってモバイルノートをカバンにしまおうとしたその時だった。
妹が立ち上がって僕の方を見つめたた。
「あたしが頼めば、先輩は協力してくれるの?」
ようやく妹がそう言った。協力してくれるのと。そう、これはやるとしたら妹のために僕がすることではない。妹のために僕が協力して妹がこれをやるのだ。
「君に協力するよ。女さんにはひどい仕打ちになるだろうけど、僕は君のことが好きだから」
妹は僕の手を握った。
「先輩、あたしに力を貸して。あたし決めた。女さんがどうなってもいいから、女さんからお兄ちゃんを引き剥がしたい」
僕は僕の手に重ねられた妹の小さな手を握り締めた。それはすごく冷たい感触だった。
「じゃあ、明日から始めようか」
妹は小さく頷いた。
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