13: ◆JbHnh76luM[saga]
2012/02/03(金) 10:25:30.65 ID:ui263o5To
食堂に放送が響く。呼ばれたエルマーは舌打ちをしながら、「きっと壊したライノクラフトの修理費をみせつけるんだぜ」と言いながら双子に挨拶をしてから食堂を去っていった。
「さて」
改めて双子がシェルを見る。
「やっと遭えた!元気だった?」
シェルの頭を抱き寄せ、沙夜香が頭を撫でる。
「あ、沙夜香、ずるい!」
魔夜香もシェルを沙夜香からひっぺがして抱き寄せる。
(思い出した……そうだったんだ)
昔からシェルは双子の弟みたいなもので、こうやって可愛がられたのだ。懐かしい感覚が沸き起こる。
「そ、それはいいとして、お姉ちゃん達がいるっていうことは、バド兄ちゃんも?」
バドという名前が出た瞬間、双子の動きが止まる。魔夜香の方は露骨に嫌な顔をしている。
「あー、うん。いるわよ」
「本当っ!?」
「すぐに会えるわ。あいつは2組目の試験にも出てたけど、もう終わったはずだし……きゃーっ!」
沙夜香が突然飛びあがる。見ると沙夜香の腰に手が回っていた。そして、双子の背後に男性が現れる。
「んー、スィートディアー達、私の噂をしていたね。今日の相手はどっちかな? 私としては同時っていうのもアリだけどね」
男性はとびきりの美青年だった。すらっとした身体つきで高い背丈、無駄な贅肉が一つとしてない、鍛え上げられた肉体や神様が直接造詣したのではないかという程の美貌を持つ青年。そんな夢のような男性がそこにいた。
「バぁドぉ!」
うなりを上げて飛ぶ魔夜香の拳をバドと呼ばれた美男子はすらり、とかわしてその手を取る。
「なにをそんなにイラついているんだい、そうか! 私に構って貰えないから僻んでるんだな?」
とびきりの笑顔を浮かべて魔夜香の手の甲にキスをする。普通の女性ならこの時点でノック・ダウンされてしまうのは確実だった。が、
「気持ちわるいっ!」
見事な真空飛び膝蹴りが美青年の顔面にヒット。男は笑顔のまま昏倒する。
「か、変わらないね、バド兄ちゃん」
ひきつりながら倒れる男性を眺める。バドルーン、通称バド。その類稀な美貌から街を数歩歩けば女性は振り返り、少しハスキーっぽいその声を聞けば女性は虜になるという完全無欠の美青年がこの男性だった。女性には優しく、男性には辛辣。その性格は魔夜香が一言で表現していた。『無類の女好き』と。そう、バドルーンはその通り、女好きなのだった。5分散歩している間に10件のデートを約束し、10分あるけば街の女性の大半をナンパしてしまいそうな男、それがバドルーンである。『広域指定危険下半身』の異名も持つ。本人は「俺の使命は全ての女性を幸せにすること。そのために俺は生まれてきた!」と公言している。
「バド兄ちゃん?」
魔夜香の一撃で気絶しているバドルーンを揺り起こすが、反応がない。溜息を吐いた沙夜香が、
「バドルーンさん、お話があるんですけど?」
「なんだい、ハニー。私とエキセントリックな夜をフィーバーする用意が出来たのかい?」
身体折り曲げずに起き上がる。バネ仕掛けみたいな人間だ。
「バド兄ちゃん!」
シェルが長身のバドを見上げながら叫ぶ。シェルの身長は140センチ、対するバドルーンの身長は185センチ。シェルはバドルーンを見上げるような格好で声をかけた。
「ん? おぉ! シェルじゃないか! 元気だったか、こいつ!」
久しぶりの再会に女好きのバドルーンもシェルに視線を向ける。頭をぽんぽんと叩きながら、
「大きくなったな。そうか、さっきのライノクラフトはお前だったんだな」
「バド兄ちゃんも乗ってたんだよね?」
「おう。シェルの相棒を叩き斬らせてもらったよ。お前と戦ったのはマイハニーだけどな」
言うが早いか、双子の背後に瞬間移動し、腰を抱く。
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