15: ◆JbHnh76luM[saga]
2012/02/03(金) 10:29:14.03 ID:ui263o5To
『最終組は準備しろ!』
館内放送が響く。
「あ、私達も行かなきゃ! じゃあね、シェル。またね」
「うん! がんばってね!」
「シェルもがんばるのよ!っていってもあとは結果を待つだけね。結果発表を楽しみにしてるわ」
そう言い残して双子は去って行った。シェルも割り当てられた部屋に戻ろうと一歩進もうとしたが、
「バド兄ちゃん……」
ゴミのように倒れたままのバドルーンが男性清掃員の箒で端の方に寄せられていた。
試験も全て終了し、シェル達訓練生を含める一行はバラン・バランへと戻る旅路についていた。
各自、順番にシャワーを使い、食事を摂ってから軽くミーティングがあり、その中で今日の最終試験の結果が伝えられた。ここでライダーになれるかの最終的な判断が下されるのだ。シェル達訓練生はこの為に今まで努力してきたのだ。双子やバドルーン達が見守る中、訓練生6人は固唾を飲んで教官を見る。
「今までご苦労だった。貴様達の結果はもう出ている。ここに来る前に行ったペーパー試験の結果に今日の実戦の結果を合わせた、全ての結果だ」
そう言いながら頭の禿げ上がった(本人は剃っていると主張している)教官は机の上に置いていたデータディスクを手に取る。
「泣いても笑っても結果は事実だ。ここで不合格になっても再試験がある」
再試験、要は敗者復活戦。ここで合格しても確かにライダーにはなれるのだが、やはりストレートに合格する方が気分的にも、実際に軍やナイティムに入る時にも評価は高い。それは即ち、自らの昇進にも繋がる。
先輩ライダー達が教官に代わって壇上に立つ。双子の沙夜香に魔夜香、そしてバドルーン。一様に真面目な表情で訓練生を見渡している。
「あー、君達の戦闘ははっきり言ってまだまだとしか言えない。俺様と比べると天と地ほどの差があると言える。というより、ちょっとマズいような気もする」
バドルーンが言いづらそうに口を開いた。肩を落とす訓練生。それぞれが精一杯戦ったのだからそう言われたらさすがに落胆してしまう。
「馬鹿っ! 何言ってるのよ! もういいから私が話すわ」
ショートヘアの魔夜香がバドルーンを殴り飛ばすようにして訓練生の前に立つ。横にはロングヘアの沙夜香も立ってちらりとシェルを見て小さく手を振る。
「ごめんごめん。この馬鹿の言った事は忘れて。貴方達の訓練度は結構高いと思うわ。これは自信を持っていいわよ。私達の年代の試験より遥かに成績はよかったわ」
苦笑しながらそう告げる。訓練生も少し安堵したように表情に笑顔を浮かべる者や失笑する者が出る。
「ただし、実戦はもっと過酷なのも事実よ。もっと精進しなさい。これから合格者が発表されるけど、不合格だった人もメゲずに再チャレンジしてちょうだい」
言われて一同の表情が引き締まる。いよいよ発表なのだ。教官が再び壇上に上がり、データディスクをリーダーにかける。
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