過去ログ - 男「勇者がいても、世界は何も変わらない」
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◆6ype9/FYBU
[saga]
2012/02/03(金) 23:45:36.03 ID:XE+6NAZdo
商人「コイツを作ってた鉄の国ってのァ、もう滅びちまってんですよ」
男「な――」
商人「鉄の国は、近隣の水の国と仲が悪かったんですがね。何でも工業用水がどうとかで揉めてたんです」
男「水の国ならよく知ってる。あそこは何度か行商で立ち寄ったからな……」
商人「へえ。それで、ついに戦争をおっ始めた訳ですよ。でもまあ、鉄の国が圧勝するのは分かり切ってたことです。なんせ、武器や兵器の国ですから」
女騎士「………」
商人「……それで、鉄の国が水の国に大量の兵士を差し向けたんです。全員を武装させてね。そして、その兵士たちが水の国に向かっている最中に――」
商人が語調を変えるか変えないかというその瞬間、女騎士が右の手を挙げてそれを制止した。
女騎士「――すまない……もう、止めてくれ」
商人「コイツは、大変……失礼なことを」
男「………」
商人「ちょっとアツく語りすぎちまいましたね。世界情勢の把握は趣味の一つでして……面目ない」
女騎士「男、私は先に帰る。すまない」タッタッタッ
男「あっ……女騎士」
商人「イヤ、ホントにすみませんね……」
男「いいんだ。気にしないでくれ」
傍若無人に思えた女騎士の背中が、少しだけ今朝よりも小さく見えた。
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