過去ログ - 男「勇者がいても、世界は何も変わらない」
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44: ◆6ype9/FYBU[saga]
2012/02/05(日) 00:34:15.12 ID:lcCll2VYo
――…‥

夜の帳が降りて間もなく。
俺たちは狭苦しい岩場の裂け目の中、ランタンに照らされていた。

男「光、漏れてないかな」

女騎士「かなり蛇行した入口だったからな。大丈夫だろう」

女騎士から受け取った地図に視線を落とす。
ここは白の国。
国境を隔てて東には砂の国、南には赤の国がある。北と西には、どの国の統治も行き届いていない地が広がっている。

男(今はこの辺か。このまま行けば明日中にはゴブリンの壁に差し掛かりそうだ)

女騎士「明日はゴブリンの壁の前で野営だ。明後日の明朝、やつらが本格的に動き出す前に通り抜ける」

男「了解」

女騎士「一応、交代で寝よう。今日は疲れただろう。先に眠るといい」

男「ありがとう。そうさせてもらう……」

夕刻の巨大な蟻との戦闘を思い出す。
女騎士は「あの程度魔物の内に入らん」と言っていたが、俺にとっては初めて対峙する魔物に違いなかった。
間近に感じた死の恐怖。あと一瞬、判断が遅れていたら――きっと女騎士が助けに入ってくれたのだろう。
だが、自分ひとりだったなら……

男(………)

女騎士「あまり気を揉み過ぎるなよ。聖域から王都への道のりは、白の国の中でも特別安全な部類だ」

男「心配するな。おやすみ」

女騎士「そうか、おやすみ」


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