142:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 20:08:19.71 ID:vAi26PND0
女性というものは、男性よりも一所にまとまろうとする性質がある。それが子供であり……尚更全体で百人前後しかいない場所だったとしたら……。
そう、彼女達は産まれてこの方、室と言われる広さ二キロメートル四方ほどの施設を出たことがなかった。そこに現在入れられている姫巫女候補の娘達は、全体で七十人。乳幼児から二十二歳まで。その年の娘達が入っている。
――白い一族。
そう、言われていた。
白い一族には女性しかいない。厳密にいうと、自分達の部族の男性は『黒い一族』であり、対極に位置する存在だ。
姫巫女は外界との穢れを絶つ為に、一日の殆どを精神の修練で過ごす。それはやはり、ある程度の年齢ごとに大広間に集められ、座禅や簡単な武稽古、舞いなどを教わっていくのだ。
そこでも、姉はいつも脇のほうで一人安穏と座っているだけだった。前は妹と一緒に当たることもあったのだが、あまりに周囲からの風当たりが悪いために、管理の女性監査員もさじを投げているのだ。とはいえ、彼女一人を外すわけにはいかない。
――そう、どうにもいかないのだった。
「お姉ちゃん……どこ行ってきたの?」
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