207:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/11(土) 19:01:47.14 ID:87ru5DuQ0
カランに回されるシーツやカーペットは一様に使い古されたものばかりだ。本来十七歳という年齢に達すると、年長……及び婚期が近いとして身の回りが新調されるはずなのだが、言い出せずにずるずるとここまで来ている。使っているものは殆ど幼児の頃からのもので、本以外はボロボロだ。
繕い跡で一杯のシーツに倒れこんで、うつ伏せになりカランは息をついた。
食堂。
その自分と対極側で友達の女の子達十数人と一緒に楽しく食事を取っている妹の光景が頭にちらついていた。
それに引き換え、自分はどうだろう。
こっそりと周囲の神経を逆なでしないように食事をして、監査官や年上……年下のみんなに攻撃されることを恐れて小さくなって。
あまつさえ、自分を娶ろうとしている相手が、あの男なのだ。
ただ無様に生きていくしかなかった。それしかなかったから。
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