222:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/11(土) 19:10:42.15 ID:87ru5DuQ0
硬直しているゼマルディに気づいていないのか、カランは疲れきった顔で目を閉じた。そして、よほど疲弊していたのか、何分も経たずにゼマルディの手を握りながら寝息を立て始める。
その手は、異常なほど冷たかった。体力が著しく低下しているせいがあるんだろう。事実、彼女の部屋の隅に丸められたシーツはほぼ血みどろの様子を呈していた。ここで行った羽生やしの儀式は、予想を遥かに超えて血を奪ったのだ。それに加えて無茶な動き、そしておそらくは大して食事を行っていないことで回復をしていないのだ。
左手でコップを握りながら、ゼマルディは小さくて柔らかい手をそっと外し、折れんばかりに歯を噛み締めた。
――俺は。
俺は、この子が好きなだけだ。
好きなだけなんだ。
979Res/589.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。